坂本龍一「教授」の曲の中に、「黄土高原」というのがある。雄大な景色が目の前に迫ってくるようななかなかいい曲なのだが、実はこの黄土高原も、人の営みの産物だったということは忘れられがちだ。森林破壊というのはもう有史以前から始まっているのだ。

そんな教授のインタビュー。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 環境
みどりの日: 飢餓と環境問題 坂本龍一さんに聞く

 植林活動でノーベル平和賞を受賞したケニア副環境相のワンガリ・マータイさんは、アフリカの緑をよみがえらせることが、地球環境の保護だけでなく、世界の平和につながることを示した。29日は「みどりの日」。私たちにできることは何か。環境とアフリカをキーワードに、音楽家の坂本龍一さん(53)に聴いた。
僕が環境問題に関心を持ったのは90年代前半、アフリカのルワンダやブルンジで激化した民族紛争がきっかけです。フツ族とツチ族の対立によって虐殺や難民流出が起こり、生活基盤を失った何十万という人が飢餓で亡くなった。飢餓と環境問題。テレビのニュースを見て、すべてがつながったような気がしました。

ルワンダの虐殺に関しては、ラジオというメディアが「果たした」役割は大きい。そしてこの「すべてがつながったような気」というのは、私がblogを書きなぐるようになったきっかけでもある。

 植民地主義が遠因だと思います。人間は自分の周りの多様な自然環境に依存して、何万年も生きてきました。それが、外から持ち込まれたコーヒーやお茶など単一作物のプランテーションによって壊された。そこに貨幣経済が持ち込まれたわけです。お金があれば森に依存しなくても、何でも買えるよと。その結果、自分たちが使う以上に木を切ったり、魚を取ったりということが起こる。やがて、砂漠化や飢餓へとつながっていく。

かろうじて植民地化を免れた日本は、自らも帝国主義化し、隣国の植民地化を進めたというのが20世紀前半の日本史。被害者にならないためには加害者になるしかないのだろうか?

 先日、ある場所に「アフリカから未来の風が吹いてくる」と書きましたが、すべてはアフリカに凝縮されている。アフリカの問題を解決できなければ、人類の未来は暗いと思います。

禿同。本当の意味で、古里に錦を飾る時代がやってきたはずなのだが。

 地球環境は、元に戻ることが可能な臨界点をすでに超えているかもしれません。温室効果ガスも、日本は排出量を(1990年比で)6%削減するはずが、逆に8%増えている。このままでは極地や高山の氷床が解けて大洪水が起きても不思議はない。

ここはつっこみどころ。「地球環境」という前に「ヒトにとっての」というのを頭に付けるべし。人類にとっては地球温暖化は大変なことではあるが、「地球大進化」の過程を考えれば,こんなのそよ風にもならない。しつこいようだが、「地球にやさしく」するほど人類は大したもんじゃあない。「地球に愛想をつかされない」よう努めるのみだ。

 戦争も政治も経済も環境もすべて関連していると痛切に感じます。20世紀以降の戦争はほとんど、地球上に偏在する化石燃料を奪い合うことから起こっています。けれど視点を変えれば、太陽エネルギーはあまねく降り注いでいます。ケニアのように資源が乏しく見える国も、光や風を変換できるシステムを持ち込めば、すごいエネルギーがある。

それを「持ち込む」のではなく、「ジモティ」たる「アフリカ人」のイニシャティヴで「取り込む」ようには出来ないのだろうか。旧宗主国の善意の押し売りではなく。

 僕は常々、コミュニティー単位で自足した分散ネットワーク社会というものを考えます。多様性ある自然に囲まれ、食べものをすぐ近くから持ってこられる社会が理想ではないかと思います。

日本においてそれを嬉々としてぶちこわしてきたのは、皮肉にも多様性ある自然に恵まれていたはずの田舎であった。全国にブチ東京をばらまいたあげく、結局若者が目指したのは「本当の」渋谷。湯布院ぐらいしかそうでない例がないというのは慚愧に堪えない。

Broadbandがあるのにまだ新幹線が欲しいのだろうか?

 この30年、大量消費と廃棄が加速度的に進んだという実感があります。「便利さを知った以上、あのころには戻れない」という人もありますが、僕は戻れると思います。何を買い、何を買わないかということは、投票と同じです。「無節操にあれ」という今の経済の仕組みも、消費者が賢くなることで変わるのだと思います。

教授には申し訳ないけど、「戻る」ことは出来ないし、またそうする必要もないはず。前に進めるのであれば。

 暗い未来予測はたくさんあります。ただ、そういうことを起こすのも人間なら、変化させるのも人間です。かつて参政権は白人男性にしかありませんでしたが、努力の末に女性が得て、黒人も公民権を得た。それは逆戻りしていませんよね。時間はかかるけれど、確実に意識は目覚めてゆきつつあると、信じています。

そのためにも、単なる「視聴者」であり続けるのはもうたくさんだと思うのだ。「目覚め」だけでは不十分なのだから。

Ask not what the rest can do for you. Ask what you can do for the rest -- before they forsake you.

Dan the Parasite of the Earth

追伸:

【構成・中島みゆき】

またみゆき記者でしたか。脱帽。