佐藤秀さん、いつもコメント&校正ありがとうございます。

404 Blog Not Found:「B」を食い物にする経済学者
>まじめにこつこつと道を覚えるタクシー運転手は?
最近は規制緩和で新規参入(=職にあぶれた人々)が多く、また拘束時間も長くて覚える気力も出ません。それに覚えたから給料上がるわけでもなし。 おまけにタクシー増えすぎてアイドリングでCO2の排出に貢献しています。

私は、規制という概念そのものに賛成です。各論だけでなく総論においても。ほぼ「知力」だけで勝負できる業界(ITなど。それでも規制が有用な分野はある)はとにかく、限りある資源を配分しないと成り立たない業界では、規制は単に必要だけではなく有用です。

私が欲しいのは、ずばり「使える規制」です。ルールがスポーツを成立させるのと同様、規制が社会を成立させているといっても過言ではないでしょう。規制そのものは悪ではありません。規制に対して無批判なのが悪なのです。

総論はこれくらいにして、タクシー業界を見てみましょう。仕事柄、昔からタクシーはよく使ってましたが、それだけに不満も多い。いや、マジむかつくことばっか。まず現状の把握から。

利用者
「ワンコインタクシーや格安タクシー、使いたいけど台数少ないもんなあ。結局初乗り660円(東京)。道を知らない運ちゃん大杉! え?銀座まで2000円?いつもなら1000円ちょっとなのに。あんたいったいどーなってんの?」
運ちゃん
「あー、駅で待つこと一時間。やっと俺の番が回って来た。同業他社大杉! え?どこですって?、あ、おれ道知らないや....あ、しまった。ここ一通で入れない。お客さん、すみませーん。カーナビ使っていいですか。あ、ずいぶん遠回りになっちゃった....どうにか着いた。2000円になります。え?いつもは1000円ちょっと?、ごめんなさい。「カーナビ入力の時にメーター止めてない?」ごもっともでございます。1000円で結構ですから。あーあ、会社になんて報告しよう....
タクシー会社
「あー、また売り上げが落ちてる。これじゃ来月の資金繰りやばそうだなあ。しかたがない。また台数増やすか。」

だれもハッピーになってないようですね。それでは「タクシー 規制緩和」で検索するとトップに来る、業界団体のの提言を見てみましょう。

タクシー規制緩和って何?
  1. タクシー事業免許制の維持と減車勧告の実効性強化
  2. 移動が制約されている高齢者・障害者が気軽にタクシーを利用できるようにする助成制度、過疎地での乗合タクシー導入など住民の足の確保のための助成制度の改善・拡充
  3. 同一地域同一運賃制の原則の回復
  4. 公共輸送機関であるタクシーの優先通行権の確立と自動車の総量規制
  5. タクシー運転免許制度の確立とタクシー運転者の社会的水準の労働条件の確保
  6. 運転者、利用者の声を反映するタクシー行政の民主化

こういうのを手前味噌というのでしょうねえ。まるで利用者のことを考えていない。「いまでも年収327万円というひどい実態」とありますが、中国のみなさんなら喜んでやるでしょうねえ。カーナビだってあるし、日本人逝ってよしとなるかも知れませんね。New York CityもSydneyもすでにそうなってましたし。

それでは、私の提言です。

  1. 台数規制は導入すべし
    駅前のタクシー公害は、利用者を含め誰のためにもなっていない。NYCやParisが1万5千台程度で充分まわしていることに留意すべきでしょう。東京でも2万台いるかどうか。今8万台でしたっけ、たしか。
  2. 営業権を売買できるようにすべし
    NYCはすでにそうなってます。数万ドルだったと記憶しています。タクシー運転手になるための敷居をある程度上げて質の向上を目指すのと同時に、退職時にはささやかな退職金がわりにもなります。
  3. 配車システムを別会社化し、タクシーそのものは全て個人にすべし
    台数が増えた背景というのは、タクシー会社というものの存在が大きい。台数ダンピングは結局タクシー会社の論理です。配車だけ行うようにすれば、今度はタクシー会社の客は乗客ではなく運ちゃんになります。嫌でも運ちゃんのことを考えざるを得ないようになります。
  4. 空港や主要駅などから特定地域への「定額制」の導入
    たとえばNYCでは、JFKからManhattanまでは、一律21ドルです(でした。2001年)。それよりずっと距離の短い羽田から佃までは6500円程度。しかも東京港トンネルが渋滞すると、1000円単位で料金がぶれます。

大事なのは、ここで最優先されるべきは乗客だ、ということです。現在の規制、ないしその緩和は、利用者としてメリットがまるで感じられません。その方が長い目で見て業界のためにもなるはずです。

Dan the Frequent User Thereof