それは違うよ斎藤マスター。
Espresso Diary@信州松本:債券市場は、なぜ強い。
たとえ国が膨大な借金しても、国債という名の借用証書を黙って引き受けてくれる国民がいるからこそ、債券が暴落しないで低金利が続いているのです。
だって、国債を買っているのは国民じゃないもん。以下、貞子ちゃんとこから孫引きの上再編集。
| 日本 | アメリカ | |
| 中央銀行 | 15.0% | 16.3% |
| 民間金融機関 | 38.5% | 22.8% |
| (うち 民間銀行) | (24.7%) | ( 3.5%) |
| (うち 生損保・年金) | (10.0%) | (11.3%) |
| (うち その他金融機関) | ( 3.7%) | ( 8.1%) |
| 非金融法人企業 0.2% | 0.7% | |
| 家計 | 2.2% | 10.8% |
| 民間非営利団体 1.0% | 1.2% | |
| 海外 | 3.8% | 39.9% |
| 一般政府 | 7.4% | 8.2% |
| その他公的部門 | 32.0% | 0.2% |
| 国債発行残高 | 560.3兆円 | 37212億ドル |
この「その他公的部門」イコール郵貯＋簡保といっていいでしょう。要は日銀まで含めた銀行が買っているわけです。「国債を買うぞ！」と決めているのは、間接的には銀行や郵貯に貯金という形で貸し付けている国民と言えなくはないですが、それを決定しているのは各金融機関です。
それじゃなぜ金融機関が国債を買うか？理由は簡単。みんな昔ほどお金を借りてくれなくなったからです。上場できる企業は株でお金を調達できるし、さらに大きな企業なら社債で調達できます。
かといって中小企業に貸すかといえば、元本割れが怖くて貸せません。貸しはがしまでしてます。残った選択肢はサラ金と国、というわけです。
とはいうものの、そもそも預金がこんなになければこんなことにはならないわけです。それではなぜ預金は減らないのでしょう？
自分のお金を預貯金にしておく人たちは、とても慎重な人たちです。少しでも自分のお金が減る可能性がある株式を、強く嫌います。
その慎重な人たちには、慎重にいられるわけがあるのです。それは、現在の年金が自己運用型、確定拠出ではなく、世代間扶養型、確定給付だからです。本blogで何度も述べた通り、また齋藤マスター自身が指摘しているように、預金のほとんどは勤労者ではなく引退者が持っています。その引退者たちは、何もしなくても年金を安定して受け取れるのです。そういう状態で積極運用する必要はありません。
アメリカではこれが一転します。アメリカは公的医療保険がない(厳密にはMadicare/Medicaidがあるが)のはよく知られていますが、公的年金も事実上ありません。だから年金は自分で運用するしかない。ただし税的な補助はある。その一つがIRA(Individual Retirement Account)、そしてもう一つが日本でも有名な401kです。こうなると、運用しないなんて言ってられません。尻に火がついたBaby Boomersが積極運用に走り、今に至るというわけです。詳しくは上で紹介した「年金術」をご覧下さい。
カール・マルクスは、「労働者にとって致命的なのは、資本から切り離されていることだ」と書いています。
こうして書いていると暗澹たる気持ちになってきます。国の財政を回すには金利を押さえつけるしかなく、そのためには預金を確保するしかなく、そしてその預金を確保するには資本家たる高齢者を優遇せざるを得ず、そしてそのためにはますます少なくなる勤労者から巻き上げなければならない....
日本では、労働と資本の間に、高齢者の投資動向というもう一つの壁が塞がっているのです。
もう一つ、低金利には貧富の差を広げる効用があります。これは別Entryで書く事にしましょう。
Dan the Taxpayer
孫引きしていただいてとても光栄です。
あ それから佐藤秀さんはじめまして♪
財務省の指令って・・・図星を突いてますね♪（＾＾