実のところ、医者達は努力もしているし、ある程度報われてもいる、と思う。

週刊!木村剛 powered by ココログ: [木村剛のコラム] 医療費削減に報いる制度改革を!
特に、お上がサービスやモノの値段を決めてきたために、努力した者が報われない制度になっているのは大問題。サービスの中身がどうあろうとも、価格が同じなのだから、サービスを向上させようとするインセンティブが働かない。

問題は、患者達が力を入れてほしい分野に医者達が力を入れてくれていないこと、だろう。

聞くところによると、最近の医学生に人気なのは皮膚科や眼科なのだそうだ。あまり生死に影響がなく、「努力」次第で大金も掴める。リスクを最小化しリターンを最大化したいのは、医者達とて同様だ。

反対に人気がないのが小児科。ただでさえ子供は手がかかるのに、医者の手元に入るのは大人を治療した場合と同じ。少子化が進んでいるはずなのに、小児科医は不足していて、救急のたらいまわしが今も行われているようだ。これではますます少子化も小児科医不足も進もうというものだ。

ここで紹介した本書は、研修医がさまざまな科をめぐって修行を積む物語だが、やはり圧巻だったのは小児科編。指導医は救急搬入の受け入れを「多忙」で断り、その結果その患者が死ぬ一方。目の前にいる患者には全力を尽くす。この指導医の

私がやらなきゃ、だれがやるんですか。

という大ゴマは、漫画でなければ表現できない凄みがある。佐藤氏の表情の描き込みは本当に凄い。しかも「海猿」の時よりも画力が明らかに上がっている。今日本で一番表情を描くのがうまい漫画家かも知れない。

閑話休題。

そうは言っても、東京都は小児科に関してはまだ恵まれている方だと思う。医療費は6歳までは無料の上、そもそも病院の数が多い。長女が指を大けが(切断寸前!)した際には、たまたま近所に小児科医にして形成外科医という医者がいて、きれいさっぱり直ってしまった。これが田舎だったらこううまく行っただろうか。

ところが、人口比では東京は子供が少ないのである。医療資源の適正配分に現在の体制は明らかに答えていない。

「努力したものが報われる」前に、「必要なところに必要な医療を提供」するのが、体制作りの役割だろう。その結果医療費が上がったとしても、それはそれで構わないと思う。医療費のGDPに占める比率で行けば、日本はまだまだ健闘している方である。しかし、医療費の増大予想の大部分は、高齢化によるものだ。よってコスト削減はこの部分に対して行われる必要がある。

実際病院が高齢者の社交場になって久しい。患者達自身の制度濫用による医療費の増大寄与率もかなり大きいと思われる。

その辺をどうして行くべきかは、別Entryで述べることにしよう。

Dan the Impatient Patient