書けて描けるpalさんのblogは今回もとてもよく書けているのだけど、一カ所気になるので。
FIFTH EDITION: マッシュアップ戦略でヤバイのはどっちだ?これには、僕個人として、理由をあげるなら、 「チープ革命」を挙げる。
つまり、サーバー代が安くなり、資本量、スキルの劣った生産者でも 簡単にwebサービスを作れる時代がやってきたことが挙げられる。
これは以前にも指摘したのだが、「サービスを開始するコスト」は確かに下がったのだけど、「サービスを続けるコスト」はあり変わらずで、そして収益構造もまた相変わらずだということだ。
X軸に規模、Y軸に「サービス単位あたりのコスト」をプロットするとスマイルカーブとは逆の山形カーブが現れる。ガラージ規模の零細企業と市場占有率一位の巨大企業が両端にあり、サービスが「使える」程度になった規模の企業が一番高い。これは、ITに限らずサービス産業全てに当てはまるかも知れない。「サービス単位」を「一コマ」とすると漫画になり、「マッサージ15分」とするとエステ産業になり、「RSSフィード」とすると「Web2.0」産業になる。
そう。この「中規模の峠」にどう対峙するか、なのである。
そして一旦その峠を越える事を決断すると、もう止まれなくなるのだ。峠を越えるためには資金が必要で、それがどの程度かというと上場するには多過ぎ、内部留保を積み上げてというのには少な過ぎという場合がほとんど。こうした金額はヴェンチャーファンド(以下VC)が得意とするところなのだけど、VCはその企業が峠で留まることを許さない。flickrやdel.icio.usのように会社ごと買われるか、上場してくれるかしなければ彼らが儲からないからだ。かといって内部留保を積み上げようにも、損益分岐点は「峠の向こう」にあるのだから何としても山を越えなければならない。よってどうにも止まらない、というわけだ。
「Web大手」がAPIを公開しているが、公開されているものだけに注目しても構図は見えてこない。彼らが何を押さえているかまで見なければ。そう。彼らは広告主という金が出る蛇口を押さえているのだ。そこさえ押さえておけば、APIなんぞいくら公開したって構わない。アフィリエイトまでしてくれるならさらに笑いが止まらない。
テクノロジーにおけるマッシュアップというのは、 一つでは「強者による弱者の利用」であるが もう一つでは、「下克上」のチャンス到来の前兆でもあると思う
少なくとも今の収益モデルに大きな変化があるまでは、「克上」は見ての通りむしろ危険な道である。むしろその場合は「巧妙が辻」モデル、すなわち「峠を登っているふり」をしつつも、時々通りかかる大名の籠から声がかかるのを待つか、いっそ「ええじゃないか」モデル、すなわち上を目指すのではなくあくまでもガラージはガラージのままにしておいて、無料で下りてくるAPIを使いまくるかのどちらかにしておいた方がリスク/リターンのバランスがよいように思われる。
退屈といえば退屈かも知れないが、今は仮に戦国だとしても後半の大大名が収斂した時代なのだから。もちろんこの段階で黒船が来る可能性だって否定できないが、それに期待するのは経営とは言えないだろう。
Dan the Prisoner of Capitalism
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