さすがpalさん。「かわいい」と「萌え」の違いをこれほど見事に分析してくださるとは。

FIFTH EDITION: 萌え絵について
本来、可愛さとエロさは、両立しえません。
なぜなら、可愛さとは、「守るべき対象」である子供に発現するべきものだからです。
ところが、漫画絵、萌え絵だと、これが簡単なんですよ。
赤ちゃん顔プロポーションにグラマーボディーという 現実世界では、ほぼありえないデザインが可能になるわけです。
これが萌え。「エロ可愛い」の正体ではないかと思っております。

「萌え」、というより「エロ可愛い」に感じる何とも言えない違和感は、確かに性欲と「保護欲」を同時に刺激されるところから来るわけだ。ずばりノーパンしゃぶしゃぶ。

私はノーパンしゃぶしゃぶに魅力は感じないし、いわゆる「萌え絵」を「かわいい」とは思っても「エロイ」と思うことはあまりないのだが、テストステロンが多過ぎたのだろうか(だから髭面というわけではないのだが)。

「萌え=ノーパンしゃぶしゃぶ仮説」(以下FIFTH Hypothesis :-)には強烈な説得力がある一方、ノーパンしゃぶしゃぶに対する違和感ほど「萌え」に対する違和感が少ないように思えるのはなぜだろう?むしろFIFTH Hypothesisに対するAntithesisはこのノーパンしゃぶしゃぶと萌えの許容度の違いを示すにとどめ、一気にSynthesisまで行ってしまおう。萌え弁証法、またの名をSIXTH Hytotheis。三つ並ぶと獣の論理。

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「妹ゲーム」大全
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「姉ゲーム」大全
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ツンデレ大全

「萌え」は今やラナやシータに代表される。「顔は子供でも体は大人」キャラだけに与えられる属性ではなく、ツンデレなど他の属性まで包括的に扱う実に「懐の深い」概念と成っている。FIFTH Hypothesisで扱えるのは、うち「妹萌え」に相当すると思われる。「姉萌え」や「ツンデレ」を扱うには拡張が必要だ。

ヒントは出ている。「ミスマッチ属性の同居」だ。これを同一の「体」に持たせれば「妹萌え」の出来上がりだが、FIFTH Synthesisによる「顔面形成」では、姉キャラやツンデレキャラは作り出せない。もちろん「妹」と見間違えるばかりの「姉」や「ツンデレ」もいるが、どちらかというと「彼女達」はpartygirl系トラディショナルエロな容姿を持っていることが多い。

なのになぜ「萌える」のか?ミスマッチ属性の同居のありようが違うからだ。よりわかりやすい例としてツンデレをあげる。ツンデレは「外」ではツンツンと隙がなく「かっこいい」キャラだが、「内」ではデレっとして弱いところをさらけ出す。そう。「内は実はかわいい」というのがミソだ。同じキャラクターでも、「発現」する属性は時所によって違う、というわけだ。

こちらは「ノーパンしゃぶしゃぶ型」よりもより一般性が高いと思われる。「一発朝食付き」と言うではないか((C)My Sister 麻衣 *0)。時所をずらせば相反する属性が同一人物に宿っていてもより自然だし受け入れやすいではないか。憶測だが、「ツンデレ」は「妹」よりもより人気度が増すと思われる。「古き良き価値観」との相性がよりいいからだ。

ここで重要なのは、彼女達、いや今や萌えとは801やBLまで包括しそうなので彼/女たちには、どこかに隙がなければならないのだ。そしてその隙こそが、彼/女らに「萌える」彼/女たちの「居場所」なのだ。

さすれば、「萌え」の根源的な病理も見えてくる。「萌え」の隆盛は、心理難民が増えていることを示唆しているからだ。それだけ心の居場所に不安を抱えている人が増えて来たということだろう。「ニジゲンへの脱出」が本気で語られるということは、サンジゲンに心の置き所がないということでもある。

モリタク先生は、そこまでわかって「萌え経済学」を書いたのだろうか?もし彼が市場としてしか萌えを見ていないのであれば、それはDQNなイケメンより罪深いことなのではないだろうか?

あなたの心の居場所がありますように。

Dan the (A)?cute Man


  1. 私の実在の妹。サンジャポに出たことがあるので覚えている人もいるかも知れない。上の台詞は彼女がホテルのフロントに勤めていた時に本当にのたまったことがあるそうである。天然である。