名文なだけに蛇足はしたくないなと思いつつ、しかし感動と救いのなさとのギャップが激しいのでそれを埋め合わせようという試み。1 entryでは足りないと思うのではじめから通し番号付き。

jkondoの日記 - はてなに入った技術者の皆さんへ
アウトプットを出す
新しい技術を習得したり、時間を掛けて作り上げた結果は、何かのアウトプットとして出さなければほとんど意味がありません。知識や結果を自分の中に残すだけで終わるのは、それを活かしてサービスを作りたくさんの人が使えるようにする事に比べると驚くほどちっぽけな仕事です。

実は上記の意見は、普遍的に聞こえながらも極めて限定的です。アウトプットを人様に見せられる仕事だけが世の中の仕事ではないのですから。

はてながやっている仕事は、いわば「誰もが見ている」仕事です。たとえjkondoが見落としても、全世界、少なくとも日本語でインターネットにアクセスする人であれば誰かが見てくれる仕事です。残念ながら、そういった仕事は数としては多くありません。ほとんどの仕事は、上司と客しかあなたを見てくれない仕事であり、そしていい仕事をした結果誉められるというよりは、仕事のミスをけなされるという類いの仕事です。

研究職だからといってそうとは限りません。むしろ研究職であれば、守秘義務の厚い壁の中で、家族にすらあなたの仕事が何なのか話せない場合の方こそ多いのでしょう。事務や出納といった仕事であれば、成果主義といわれても、求められるのは「ネガティブなアウトプットを出さないこと」であり、「アウトプットを出すこと」ではありませんよね。

最も「アウトプットを出す」という言葉に近いのは恐らくセールス(営業)だと思われますが、それとて社内のノルマをブログに載せたり、ましてや達成度をはてなグラフで見せたりすることを許してくれる会社が多いとはあまり思えません。

だからこそ、そんなあなたはあなたを看ている人を大事にしてあげて下さい。誰もが万人が看ている中で仕事ができるわけじゃないのですから。

そして、もしあなたが人を看ることを仕事としているのであれば、視野狭窄に陥らないよう心がけて下さい。はてなの技術者であれば、jkondoへの異議申し立てはサービスのリリースという形で全世界に出せます。ほとんどの職場ではそうではありません。ほとんどの職場では、あなただけが社員を看る人なのです。あなたに看捨てられたら、社員に残された異議申し立ての手段は、辞表をたたきつけることぐらいしか残っていないのです。

そしてアウトプットを見せたくても見せられないと思っている全ての人へ。アウトプットというのは優れた技術や売り上げだけではないありません。見たいものを見せるのもアウトプットなら、見たくないものを見せないのも立派なアウトプットです。もしゴミ収集車がいつも通り来なかったら、あなたの街はどうなってしまうのでしょう?ディズニーランドで私が一番関心したのは、アトラクションではありません。こぼれたポップコーンが10秒とたたずに片付けられたことです。

あなたにとって何がアウトプットなのかを決めるのは、あなた自身なのです。

Dan the Man with Too Much Output and Even more Input