おやまあ、たけくま教授が私を名指しで。

たけくまメモ: ソフトがタダになる時代
俺は詳しいことはよくわからないんですけど、小飼弾先生がご専門のオープンソース・プログラムみたいなものは、PCの世界では昔からありますよね。あれは、まあ、ベースになるプログラム・コードを公開して、世界中のプログラマーが自由に改変を加えてよりよいものに改良していく、というものですけど。

しかし、年下なのに先生とはこれいかに。

たけくまメモ: ソフトがタダになる時代
あらゆるソフトはタダ

この「タダ」にもいろいろございます。タダで見聞きできるのか、タダで二次使用していいのか。うちオープンソースは、二次使用まで無料というのを指します。ただしたいていの場合、一次作品の著作権もつけておく必要があるようになっている場合が多いようです。

この「タダでアレする」のアレの定義だけでも充分大きな議論のネタなのですが、ここではあえて狭く、「タダで見聞きできる」にしぼって話を進めます。この「タダで見聞きできる」が、どれだけ「共同体力」を強めたかというのは言うまでもないことです。TVが一億総白痴化を招いたという人もいますが、それは「白痴」とされるレヴェルが上がってしまったためそう見える錯覚なのであって、絶対値は確実に上がったのです。ネットがさらにこれを推し進めることは疑いの余地がありません。絶対値の向上と、それに伴う相対価値の低下。これは抗い難い力に思われます。

FIFTH EDITION: ネット時代の商業ソフト販売
これを著作権にあてはめるとですね、誰でも自由に利用できる共有資源(画像、動画)が乱獲される(無制限にコピー配布)ことによって資源(クリエイター側)の枯渇を招いてしまうって事です。

面白いことに、こういう時代、恐竜の首を抱えている人はますますばかでかい金が入るんですね。Automaticをウタダが歌うとウタダにAutomaticに100億入り、それをあなたがカラオケボックスで歌うとあなたがAutomaticに100円払う、と。ピカソの絵一枚が100億円、あなたが絵を描いてそれを自費出版するのに100万円。たしかにクルってるように思えます。

たけくまメモ: ソフトがタダになる時代
ソフトで飯を食べたい人は、いちいち広告載せたらどうか

このモデルはすでに実践されていて、私もこの四半期ははじめて本代をアマゾンアフィリエイトが上回りそうですが、問題は「みかじめ料」でしょう。要は仲介手数料率がすんごく高いんですね、GoogleやYahooの利益率を見ればわかります。実はこれだけでもGoogleやYahooを出し抜く要素にはなるのですが、その一方でネットの広告は実は「狭告」であって、狭ければ狭いほどよく、それをどれだけ狭められるかに各社はしのぎを削っているわけで、この手数料問題と「絞り込み違い問題」は、時と技術と資本主義が解決しそうだという感触を持っています。

ただし、広告だけでは共有地は充分な広さを有しているとは言い難い、という問題もあります。全世界を足してもわずか30兆円。見た目は派手でも、日本人だけでパチンコ屋でスる金額程度の広さなのです、この共有地は今のところ。もちろん、絞り込みがより繊細になり、今までは広告に金を出さなかった人々が金を出すようになれば、この市場は大きくなり得ますが、その一方で広告料のダンピングもあり得るので、この30兆がそのまま漸増するかどうかは予断を許さない状況にあるでしょう。

そうなると、

ソフト代を「税金」でまかなうという方法はどうだろうか。
たけくまメモ: ソフトがタダになる時代

というのも充分視野に入れる必要があるかと思います。いや、同じ「税」を使うなら、お上を連想させる「税金」ではなく「印税」に出来ないか。

税金は、たとえばプロバイダなどの回線業者から一律に徴収する。多少回線料金が上乗せされるけれども、ソフトが合法的にタダとなるなら、納得する人も多いのではないかと。

これは、実はすっごく簡単に実装できます。例えば、ここでその印税を管理する団体を、ちょっと洒落てIPIP (Society for Intellectual Properties on IP)と呼ぶ事にしましょう。

コンテントプロバイダー側で、ネットワークプロバイダー(回線業者)側からのトラフィックのうち、IPIPに未加盟のネットワークプロバイダーからのアクセスを切ってしまえばいいのです。IPアドレスによるフィルタリングはすでに長い歴史があり、高速かつ簡単に実装できてしまいます。

これなら、この仕組みを実装するのに個々のユーザー、個々のクリエイターと個別契約を結ぶ面倒さもなくなります。ぶっちゃけ孫さんさえ首をたてにふれば、あっという魔に普及するでしょう。

もう一つ大事なのは、ここでは「課金逆潮流」の仕組みをはじめからつけておくということです。太陽電池つきの住宅などでは、余った電気は電力会社に逆潮流の仕組みで電力会社に買ってもらえるため、実際に払うのはその差額なわけですが、コンテンツでもこれをやるのです。

そうすれば、人気サイトはアフィリエイトを張る必要すらなしに、ネットワークプロバイダーからの逆潮流で潤うことになります。各サイトはコンテンツの充実に注力でき、blogサイトプロバイダーはより使い易く信頼性の高いサイト構築に注力するようになり、そしてネットワークプロバイダーは回線の効率的利用をより試行するようになる。なかなかよさげではあります。

もちろん、問題もあります。一番大きいのは二次使用の場合の課金分配でしょう。これだけでは一次情報は自分で出しても、それをリンクした二次情報サイトの方が儲かるという構図もありえます。ある意味今のGoogle Economyはそういう状態の既成事実化と見なせなくのないのですが、長期的に見て放置してよい問題ではないでしょう。

とはいえ、これは試してみた方がいいと思います。すでにパンドラの箱が空いてしまっている以上、希望が見えるまで箱を掘り続けるのをやめるべきではないのではないでしょうか。

Dan the Information Prosumer