本blogのアフィリエイトでも常に上位にある「数学的思考法」の芳沢先生が、またも一冊講談社現代新書から出した。

Perl Mongersには、Math Best Practicesというのがしっくり来る本だ。

前著の「数学的思考法」が、「ああ、数学?知ってる。ワタシニガテ」という大人に対して向けられた数学再紹介の本なら、本書はその「なぜ苦手になったのか、一緒に見ていこう」という数学(再)入門としての役割を担っている。それだけに、「数学的思考法」よりさらに広い読者層に奨められる。「数学的思考法」は基本的にアタマがカタクなりはじめたオトナむけだが、本書は、算数、数学にツマヅキだした、そしてツマヅイテしまったすべての人が対象だ。

ツマヅイテないつもり、「わたしラマヌジャンの生まれ変わりですがなにか?」という人も、だまされたと思って本書を手にして欲しい。少なくともとこか一カ所「あ、実はここで転んだっけ」という思い出と巡り会えるから。

本書のまえがきにある通り、本書は転ばぬ先の杖でもあり、転んでからそれを手がかりに起き上がるための杖でもある。本書がうれしいのは、教科書には載っていない、いや本来載せるべき「よくある間違い」がこれでもかこれでもか、と載っていることだ。

これで720円は安い。↑の表紙をクリックして必ず手に入れよう。まだクレディットカードがない未成年のみなさんは、お母さんお父さんに買ってもらおう。マンガやゲームソフトより買ってもらえる確率は高いぞ!

そうそう。本書の確率の項目も、とってもよく出来ている。特に教科書丸暗記してしまって、それが正しいか不安な人は読み直すといいぞ。

最後に本書の目次を全引用しておく。これだけでも、手に入れる価値がある本だと納得していただけるのではないか。

Dan the Mathematical Being

  1. 「つまづき」は成長の母--まえがきに代えて
  2. 小学校算数の「つまずき」
    1. 「数」って何?
    2. くり上がり・くり下がりがわかるコツ
    3. 検算の大切さ
    4. 答えが大きく違ってしまうとき
    5. 個数としての数、量としての数
    6. 小数の掛け算・割り算
    7. 分数の通分・約分と帯分数
    8. 分数は掛け算も難しい
    9. 「分数で割る」とはどういう意味か
    10. 計算の規則を身につけるには
    11. 時間の理解には時間が必要
    12. 「文章題から式をつくれない」
    13. 速さと「は・じ・き」
    14. 平均は「足して個数で割る」でよい?
    15. 用語(定義)を誤解していないか
    16. 比と割合を理解するには
    17. 「面積の公式が正しく使えない」
    18. 立体図形を「体験」で理解する
  3. 中学校数学の「つまずき」
    1. まず移項と数直線を学んでおこう
    2. 「負の数」を含む掛け算・割り算
    3. 掛け算記号の省略・累乗・絶対値
    4. 方程式と恒等式
    5. 「単位のない図形問題」の考え方
    6. 証明の鍵は「三段論法」と「矛盾」
    7. ヒラメキがない人は才能がないか
    8. 「そそっかしさ」を治すチャンス
    9. 平方根と記号√のつまずき
    10. 「関数」と「関数のグラフ」の意味
    11. 「xy座標平面上の直線」の使い方
    12. 「比例と反比例」は理科的に理解する
    13. 円周角で学ぶ「ストラテジー」
    14. 立体の体積と表面積
  4. 高校数学の「つまずき」
    1. 記号は単なる言葉に過ぎない
    2. 三角関数は三角比から理解する
    3. 2次関数で学ぶ位置関係
    4. 「並べる=P 選ぶ=C」と覚えるな
    5. 確率の出発点は「同様に確からしい」
    6. 数学的帰納法の「形式」
    7. 数値を代入する方法の落とし穴
    8. 誤解しやすい論理の基礎
    9. ベクトルと位置ベクトル
    10. 行列は数の感覚で計算しない
    11. 逆関数を知っておこう
    12. 微分積分の鍵は「限りなく近づく」
  5. あとがき
  6. 参考文献