このEntryではネタにしてしまったが、実際すごい面白い本であった。

ただし、彼女の前著である「視覚世界の謎に迫る」をすでに読んだ人を除く、かな。

典型的な同工異曲、という奴で、図版に至っては半分以上共通である。あまりに似ているので、私は最初重複買いを疑ったほどだ。どちらもメインテーマは、赤ちゃんの認知発達の様子を通して、「脳は世界をどう見ているのか」に迫ることにあり、またそれが彼女の研究テーマなのだが、ここまで似ているとむしろ「視覚世界の謎に迫る」との相違点を箇条書きして欲しくなる。

まあたいていの人は、ブルーバックスも平凡社新書もどっちも買う、ということは少ないので、「理解者を増やす」という点ではこういうアプローチもありだとは思うが、やはりもう少し違いがわかるようにしておいて欲しかった。もっともアルベルト・スギと和田義彦の絵ほどに似ているわけではないのだけど。

この辺は、むしろ平凡社新書編集部の仕事じゃないかなあ。

どちらがお薦めかといえば、もう断然「赤ちゃんは世界をどう見ているのか」の方。ブルーバックスの方より安くてページ数も多く、そしてわずかだけどアップデートも入っている。強いて難点を挙げると、ブルーバックスと違ってこちらには索引がないことか。科学書で索引がないというのは、それだけで価値が下がる、というか、この価格差は索引の差かもしれない。

ちなみに彼女の研究室は、こちら。

中央大学文学部 教育学科心理学コース 山口研究室
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/

ちょっとアクセスカウンターが寂しいけど。論文などへもリンクがあるので、より詳しく知りたい人は是非。あと、「赤ちゃん研究員」も募集しているようなので、「研究員」の親御さんも是非。

Dan the World Watcher