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Bill Gatesというと、今でも思い出すのは、BMUGでWord 3 (for Mac)のデモをやった時のこと。

Life is beautiful: 速報!ビル・ゲイツ、事実上の引退宣言
シアトルタイムズによると、(私の予想どおり^^)Bill GatesはChief Software Architectの地位をRay Ozzieに今日付けで譲ることを決めたそうだ。ただし、会長としての地位は今後2年間維持したまま、徐々に自分の役割を減らして行き、2008年には完全に引退するとのこと。

もう20年近く前だが、当時はまだBillご本人がデモをやっていたのだ。

その前のバージョンはバグだらけで、Word 3では特にデバッグに気をつけて、ということを力説したあと、こう加えたのである。「バグが一つでも見つかったら、ご報告ください。私の小指を進呈します」。それも小指の根元をチョンチョンとやるジェスチャー付きで。

その後BMUGのメンバーがすぐに小さなバグを一つ見つけたのだが、小指はまだ届いていないようだ。

今でもこの話はBMUGのメンバーの語りぐさになっていると思う。

その後何度かBillを拝見したことがあるのだが、いつも変わらない印象は、「徹底的にムキになる人」ということ。Microsoftの競争力の原点は、そこにあったと思う。それが世界にとって良いことか悪いことかはわからないが、それが彼に$50Bの資産をもたらしたことは確かだろう。

Life is beautiful: 速報!ビル・ゲイツ、事実上の引退宣言
「自分の子供には暮らして行くのに十分なお金だけ残し、後は慈善活動を通じて寄付する」と宣言してきた彼が、その言葉どおりのことを実行すれば、4兆円近いお金が世界中のさまざまな慈善活動団体を通して、子供達の教育や、貧しい人たちの医療に使われることになるのである。

一つ心配なのは、彼はここでも「徹底的にムキになる」のだろうか、ということだ。

この「徹底的にムキになる」というのは、実はBillだけではなく合州国の根底にあるドグマでもある。歴史学者が呼ぶManifest Destinyというのがこれだ。「新大陸」を制覇し、太平洋を制覇し、そして世界を制覇し....そこにおける「原住民」に許されたオプションは、恭順か滅亡か。

電脳界というのは、まさにBillにとってのManifest Destinyだった。BASICを制覇し、OSを制覇し、Office Suiteを制覇し、ブラウザーを制覇し....

彼は知っているのだろうか?徹底的な慈善活動というのは、時に慈善ではなく偽善になってしまうのだということを。ただでさえ世界は合州国の徹底的な善意でおなかいっぱいなのだ。イラクを「解放」する感覚で貧困と疫病を「解放」するというのであれば、まだ$50Bを湯水のごとく浪費してくれた方がマシのようにも思える。

その意味で、Microsoft創業以上の挑戦を、Billは行おうとしているのかも知れない。

Dan the Billed