「グーグル Google -- 既存のビジネスを破壊する」と「検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた」の佐々木さんから本を頂いたので書評。
以前紹介した二作が、特定の主題を追った「長編」なら、こちらは「短編集」にあたる。
ネット(を取材する)ジャーナリストとしては今や日本で第一人者の感もある佐々木氏の手によるものだけあって、十分読み応えがあった。「長編」では割愛されたさまざまな話題が本書に集約されている。本blogも含めて、情報を二次的に加工処理する場は多くても、実際自分の足で一次情報を取材している人々は、ネットの世界でもそれほど多くない。多くのbloggerにとって、本書は有用な「種本」となるだろう。
ただ、今まで佐々木氏がblogなどに執筆してきた文書を本にするにあたって、その工程がちょっと安易なように思える。
一つは、タイトル。「ウェブ2.0は夢か現実か?」というのは、それ以外の題目も多く扱った本書の名前として適切なのだろうか?興行的にも、そろそろ「ウェブ2.0」というのはお腹いっぱいな頃合いである。主題は「佐々木俊尚のネット事件簿」として、「ウェブ2.0」をどうしても入れたいなら副題にした方がよかったのではないか?
もう一つは、リンクの欠如。これの元となったHotWired「ITジャーナル」、そしてその後継ともなったCNETの「ジャーナリストの視点」には、もちろんリンクが存在する。それらを本にまとめる際いは、地の文を紙に落とすだけでは明らかに不十分で、全てとは言わぬともリンクは脚註なり章末や巻末に書き出すなりするべきである。これほどhttp://が不在のブログ本というのは稀なのでhないか?
そのことが、本書の「使いやすさ」を少なからず損ねている。佐々木氏の取材が元になっているだけあって、本書は「読む本」としては合格だが、「使う本」としては合格とはとても言い難い。これが「グーグル明解検索術」と同じ出版社からの新書とは信じられないほどである。
今後も佐々木氏はネットジャーナリストを続けて行くのであろうし、そうすれば本書のような「短編集」を出版する機会も増えるだろう。そのことを考えれば、書名を「佐々木俊尚のネット事件簿」に定めてシリーズ化してしまってもよかったのではないだろうか。
Dan the Reviewer
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