磯崎さんとは思えぬ不見識である。

isologue: 痴漢容疑リスク
一般論として確実に言えるのは、電車を利用する男性にとって、「痴漢容疑リスク」は(大げさでなく)現代社会における最大のリスクの一つになっている、ということではないかと思います。

確かに、日本においては痴漢に限らず逮捕というのは異様に重い。しかしこれは痴漢に限った事ではない。それだけでも、冤罪と痴漢は分けて話すべき話題である。

次に、その痴漢容疑をかけられる確率がどれくらいかということ。「痴漢 統計」でぐぐってみるとこんなページが出てくる。

痴漢や泥棒が来てもわからない…眠るな、危険! 電車内、眠ると痴漢がやってくる - [防犯]All About
平成12年度の警視庁・鉄道警察隊の資料によると、警視庁管内の電車車両内における「痴漢」の認知件数の内訳は(1)JRが797件(2)私鉄が722件(3)地下鉄が335件となっており、被害時間は午前7時から9時の間が、全体の約70%となっています。

「え、たったこんだけ!?」という感想が脊髄反射で出た。ただここには一年間でそれだけ、なのか一日でそれだけなのかがわからない。今度は「痴漢 認知件数」でぐぐると、以下のページが出てくる。

graph 電車内における痴漢犯罪の実態
電車内における痴漢犯罪の発生件数を見ると、平成16年中は2,201件で、平成8年の約3倍に増加し、過去最悪の状況となっています。

上のAllaboutの数値は「警視庁管内」、すなわち主に都内なので、全国一年分つじつまがあう。

被害者の皆さんには申し訳ないが、「わずか」2,201件である。交通事故死者の4割に満たないのだ。痴漢にあうのと車に轢かれるのと、どちらが深刻で悲惨かは言うまでもないだろう。

もちろん、量刑もそれを反映して痴漢の方がずっと軽い。同ページによると、卑わい行為で6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、強制わいせつともなると6月以上10年以下の懲役と格段に重くなるが、件数はずっと少なくて304人である。殺人の1/5ぐらいだ。

これらを勘案すると、どう考えても交通事故の方が痴漢容疑より桁違いにリスクが高い。

isologue: 痴漢容疑リスク
もっと稼いでベンツのSL(屋根の開くやつ希望)あたりで自動車通勤と行きたいところでありますが

痴漢の心配をして交通事故を起こすがよほどこわくと思うのだが。

ヨブ記を絵に描いたような状況が現出するわけであります。

確かに冤罪逮捕されてJob (そう。「仕事」と同じ綴り)になるのは恐い。しかしそれは他の犯罪に関しても同様だ。

痴漢に関しては、逮捕されるリスクそのものがそれほど高くないのに、逮捕されてからのコストだけを語るのは片手落ちもいいところではないか。

「経営にはリスクがある」てなことを言いますが、事業がうまくいかなかった場合に経営者にかかってくる財務的リスクは、最近では、あらかじめちゃんと考えてさえいれば、投資契約とか責任限定契約とか議事録等に適切なエビデンスを残すとかで、かなりの部分コントロールできるようになってきているわけで、電車に乗る場合の「痴漢容疑リスク」に比べたら、まったくコントローラブルな気がいたします。

というのは、それこそ空が落ちるのを恐れて空を見上げて歩いていたら地面の穴に落ちるという程度のお粗末なリスクアセスメントではありますまいか。磯崎さんといえど、近親者に起こった事件をもって一時が万事になってしまうのだろうか。

Dan the Potential (Victim|Criminal)

追伸:

ちなみに女性専用車両の存在というのは、破廉恥以外の何者でもないと私は考えているが、これに関しては別の機会に。