佐藤さんの意見の是非はあえて後回しにし、それが可能かどうかを先に検証しておきたい。

佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン:日本は核武装する責任がある
あるべき所に核がないから世界は不安定になる。これが世界の現実だ。
日本は世界平和に貢献するために核武装すべきだった。

結論から言うと、今の合州国なみ、いやそれ以上に軍を充実させないと無理ということになる。

まず技術的には、日本の核武装は何の問題もないと言ってもいいだろう。その気になれば明日とは言わぬまでも、一年経たずして核実験にこぎつけ、その翌年には量産しているだろう。原材料のストックもすでにたんまりある。

だから、この可能性の問題というのは、国際政治に絞ることができる。その中でも最も重要なのは、果たして日本の核武装を合州国が認めるか、ということだ。

佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン:日本は核武装する責任がある
アメリカがそれを望んでいないというのも嘘だ。これはタブーに触れたくないための政治家の逃げ口上に過ぎない。日本が核武装したとてアメリカには何の脅威もない。イギリス・フランスの核が何の脅威でないように。

この認識は、甘すぎる。英仏両国の事例を検証してみよう。

まず英国だが、これは「属国型核保有」と言い切っていいだろう。英国の戦略ミサイル原潜に搭載されているのは、合州国のそれとおなじTrident。弾頭だけは自国製だが、兵器システムとしての核は完全に合州国依存している。大英帝国も今や昔なのだ。しかもそのために自主的な行動が多いに掣肘されていることは、BlairがPoodleになってしまったことからも伺える。

次に仏国だが、ここも事情は似ている。確かに英国と違ってM45はAerospatiale製だが、合州国の技術援助を受けているという点では変わらない。

自国の独立のシンボルが、実は合州国にEndorseされている。何となく天皇を彷彿とさせるではないか。

要は、合州国に許される形での核保有というのは、むしろ軍事面における合州国への属国化を進める結果にしかならない、ということなのだ。この形での核保有はおそらく日本が核保有化への最短の近道だが、「日本は世界平和に貢献するために核武装すべき」というのであれば、最も意味のない核保有となることは明らかだ。

それでは、合衆国の意向を無視して、日本が核保有を強行することを合州国が放置するだろうか?

それを強行するには、合州国との同盟を断ち切るだけの覚悟がいるだろう。日本の核に対する牽制と監視は、未だIAEAの最重要任務の一つだし、そのIAEAが監視している日本の原発も元を正せばWestinghouseかGEが設計したもの。うちWestinghouseは現在東芝が保有しているが、裏を返せば日本が「核的属国」だからこそそれが許されたと言ってもいいだろう。

そして日本の核保有に懸念を示しているのは何も政府だけにとどまらないということもある。"Debt of Honor"はおとぎ話に過ぎないが、市井レベルにおいても日本が潜在的核保有国であることを知っているということの傍証にはなる。余談だがClancyの近未来小説はことごとく現実から外れている。世界にとって幸いなことだろう。

上で述べた通り、むしろ現時点における核保有というのは、日本のさらなる属国化の助けにはなっても、「世界平和に貢献する」にはほど遠いものとなるだろう。

ごろーの日記: なんちゃって核かと思っていたら。
安倍ちゃん、やっぱ核を持とう。

そして、英仏と同様の意味においては、日本もすで核を持っているといってもいいだろう。名義が日本になっていないだけで。別に首相にお願いする必要もない。

それに、今や核兵器よりも「使える」上に効果がある「兵器」が存在する。BC兵器のことではない。これに関してはEntryを改めて書くことにしよう。

小飼


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