もちろん読ませていただいております。オリジナルも日本語版も。読んでいるどこか2000年には京都でご本人とお会いしております。
404 Blog Not Found:経済学からの伝言-山形さんのコメントオープンソースがどうしたこうしたと言いながら、拙訳のエリック・レイモンド「伽藍とバザール」三部作もお読みいただいていないということでしょうか。もう10年も前に、似たような疑問を抱きながら、疑問を抱いた自分に自己陶酔するだけでなく、ちゃんとそれに対する答えを考えて勉強した経済学の素人がいたのです。そしてかれは、実際に経済学にとっても示唆的な成果を挙げました。
しかし、ESRの提示したbazaarは、「なぜopen sourceがうまく行くか」は上手に説明できても、「それを既存のeconomyと協調させるにはどうしたらよいか」という答えにはなっていません。
むしろ、ITバブルの戦犯扱いする人すら多いのです。
これを見ると、そもそもVA Linux自体が「うまくいっているわけではない」好例に見えてしまうが厳しすぎる見方だろうか? Open Source を同じく飯の種にしていても、 こういう例やこういう例など、 ITバブル崩壊後きちんと利益も株価も戻している例も多いのだが。
2000年当時ならとにかく、現時点で「伽藍とバザール」をもって「リアル」を説得するのは非常に難しいことはおわかりにならないでしょうか。私がこんなことをのたまい始めたのも、「伽藍とバザール」に問題があればこそです。
山形さんのコメント素人であるというのは、ここしばらく貴殿が行っているような「おれは素人なんだから教えろ」とふんぞりかえることを正当化するものではありません。
ふんぞり返っているように見えますか?
私は2002年は原稿料以外は無収入でした。Perl 5.8の開発に没頭していたからです。2005年にOSCONで発表をした際には、TPCに$1,000寄付もしておりますし、2006年のYAPC::Asiaでは拙宅がLarry WallやAudrey Tangを含む海外組の宿となりました。かれこれ私が open soruce に寄贈してきた分は、金額換算すればどう見ても$200,000を下ることはないでしょう。
問題は、今のところ、open source "economy"では、「リアル」で稼いだ分を寄贈するというもモデルしか持っていないことにあります。もちろん今ではIBMなど「会社ぐるみ」で open source に commit する企業も多くなってきましたが、それとてそれに関わる社員の給与は別の「リアル」から持ってきているわけで、構図はそれほど変わっていません。
私が提起している問題は、まさにそこなのです。
Dan the Open Source Contributor
を説明した文書なのです。人は、お金以外のインセンティブでも動くのだとい
うことを示し、なぜそこにリアル経済からの寄贈があり得るかを説明した、
画期的な文書です。寄贈するというモデルしかない、とおっしゃいますが、そう
いうモデルがあることのすごさと合理性を説明したのが、レイモンドの手柄なの
です。リアル経済に寄贈されるというのは、まさにリアル経済との協調の一種
なんですから。(以上!)