著作権保護期間の延長問題を考える国民会議 - thinkcopyright.orgという団体も発足したことだし、そろそろ以下の宿題も少し進めてみることにする。
404 Blog Not Found:著作権の二つの顔-人格権と財産権著作権に関しては、人格権が過小に、そして財産権が過大に評価されているというのが私の感覚である。それではどうしたらよいかは、entryを追って考察して行きたい。
現在、著作権保護期間を著者の死後50年から70年に延長しようという政治的動きがあるのですが(映画の著作権はすでに公開後70年になってますが、それを他の分野にも適用しようということ)、もちろん俺は反対なのでその旨を伝えたら発起人にされてしまいました。
たけくま教授、ご苦労様です。
私の意見は、「どうせ改正するのであれば、保護期間を延長するしないに留まらず、今までの知見をもっと『著作権』という『プロトコル』に反映させるようにしたらいいのに」、ということになる。
今回の著作権保護期間延長に関しての賛否両論は著作権保護期間の延長問題を考える国民会議 - thinkcopyright.org | 保護期間延長「賛成」「反対」それぞれのワケにまとめられているが、さらに私なりにまとめると、こんな感じになるだろう。
- 賛成派
- 日本でも諸外国と同等の権益を確保できるようにせよ!
- 反対派
- もっと円滑な再利用の促進を!
両方を納得させる「落としどころ」はどのあたりにあるだろうか。私が注目しているのは、著作権そのものではなく、著作権からどのように権益を上げるか、という仕組みの方である。
実は、著作権は、著作物が誰のもので、それに対してどういった権利があるかということは規定していても、ではそこから具体的にどう利益を確保するか、すなわち「著作利権」までは規定していない。
それでは、著作利権はどのように確保されているか?今のところ、それは著作権保持者次第ということになっている。その著作物をどのようにいくらで配布し、誰に対してどれだけの再利用を認めるかというのは、個別交渉の対象ということになる。
これが何を意味するかというと、「強い」著作権保持者ほど、多くの利権を手にする、ということになる。実は著作物の値段を決めているのは、著作権そのものではなく交渉なのだ。著作権が侵害されていないか監視するだけでも大変なのに、ましてやその値段交渉ともなると著作者のほとんどがお手上げだ。そこで代理人制度が発達する。代理人は煩雑な手続きを著作者に代わってやってくれる代わりにマージンを手にする。より勁い代理人であればより多くの利権を確保してくれるはずだ。こうして代理人はますます強くなり、いつの魔にやら著作者たちよりも強大な発言権を手に入れるようになった。また、著作者がどれだけの利益を上げるかは、著作のよしあしよりもむしろ代理人の強弱が影響するようになった。
著作権保護期間延長に誰が賛成しているかといえば、「強い」代理人たちと、彼らに委任した著作者たちであることは明らかで、これは彼らが著作権そのものよりもそれに伴う利権に興味があることを示している。
一方、誰が反対しているかを見てみると、再利用したい人々である。彼らは決して著作利権そのものに反対なのではなく、その利権設定権が著作権者(およびその代理人達)に一方的にあることに耐えられないのだ。
さすれば、いっそ著作権保護の期間そのもの延長を認めた上で、著作利権に一定の制限を課すという方針はどうだろう。前のentryでは私は薬価の例を挙げたが、貸し出し利息にも制限が認められているのだから、著作利権の上限を設定するというのはアリなのではないか?
例えば、「再利用に当たっては、そこから上がる収益を超えない範囲のみ著作権保持者に支払う」という制限があるだけで、再利用はぐっとしやすくなる。現行の法律では、著作権保持者に「使いたかったら一億円。これ以上まからぬ」と言われたらそこで話は終わってしまう。利用者に一種の有限責任を与えるわけだ。
また、一定以上収益が上がった著作物に関しては、一部用途においては著作権料を免除するということもありだと思う。たとえば教育における利用だとか、バーの生演奏だとか。あくまで一定の収益、たとえばミリオンセラーになったらなどの条件をつけるところがミソで、きちんと一定以上の収益を上げる機会は確保してあげるのだ。
もちろん今まで通り、著作権者の方が法律で定められた権益より少ない権益しか要求しないことや、権益そのものを放棄するのも自由である。法で定めるのはあくまで上限で、「まだ著作権が残っているからCCやopen sourceに出来ない」ということはあってはならない。
その上で、保護期間を延長するのであれば、著作権が単に使いやすくなるだけではなく、著作権に対する「尊敬」も高まるのではないか。それでも海賊版を作るものには「追徴課税」ではなく「追徴印税」をかませばよい。そう。著作権益に上限を設けることで、罰則も実は強くできるのだ。
いかがだろうか。
Dan the Copyrighted Man
彼らにとっては、著作権者も利用者も搾取の対象。著作権者の権利や文化の発展などお構いなしで、自分達が楽していくら儲けられるかが大事。バンド演奏のアンコールにもご丁寧に課金、学生の音楽コンクールにも課金。馬鹿らしすぎる。
著作権法改正により音楽著作権管理会社にも新規参入業者が現れたが、委託先を替えられないように著作権者に不利な契約内容を押し付け、業者間の自由競争は実現せず。これがなぜ独占禁止法に抵触しないか謎(おそらく天下りの影響力かな)。
著作物の利用を妨げる著作権法なんていらない。