すでに芳沢光雄は、 404 Blog Not Found:Thinking Mathematically と 404 Blog Not Found:算数・数学が得意になる本--転ばぬ先の杖 で二度も紹介しているのだけど、本blogではいずれもロングセラーとなっている。
そして今回新たに本書「数学的ひらめき」が加わった。
やはり芳沢先生にふさわしい名著だと思うが、タイトルはむしろ「数学的なるほど」の方がふさわしいと思った。
前著二つがどちらかというと数学そのものもさることながら、それぞれ数学のプロモーション、数学の面白さの再紹介にむしろ重きをおいているのに対し、今回は数学の問題そのものに焦点を当てている。本書は今までの芳沢本のどれよりも多くの数式が登場し、それを無理なくのせるためにわざわざ横書きにしてしてある。
しかしそれを見てびびらないで欲しい。数式といっても、そもそも記号の意味から説明しなければならないほど難しいものは登場しない。一番難しいものでせいぜい√で、それも平方根のみだ。
それでいて、数学がすでに好きな人に飽きられるほど退屈な問題は乗せていない。いずれもすぐに実地に応用でき、そしてそれを通して数学の面白くて役に立つことがよくわかる問題を集めたのが本書である。以下がその問題だ。
- 樹形図による数え上げ
- 割り算の「あまり」とカレンダー
- 実数・整数・素数
- 誕生日当てクイズ
- 符号化した整数
- 大小比較とドント方式
- 利息と対数
- 数列の和と元利均等返済
- 級数と確率
- アルキメデスから学ぶ図形
- 測定を楽しもう
- 黄金比は美しいのか
- 不動点の一例となる名刺手品
- 確率という言葉
- 過去を見る確率と予想屋
- じゃんけん
- 偶然性のゲームと策略のゲーム
- 数学的帰納法とあみだくじ
- あみだくじの具体的な仕組み方
- あみだくじによる偶置換・奇置換一意性の証明
- 15ゲームが完成するための必要十分条件
どうしてこれだけ「面白くてためになる」問題ばかりを集めることが出来たかというと、これらの問題、いずれも芳沢先生が出張授業で使ってきた"Combat Proven"な問題ばかりなのだ。そこでは、退屈な授業は許されない。それでいて、面白いだけで応用が効かない問題では生徒達は忘れてしまう。面白くてためになるのは当然なのだ。
おそらく問題の「面白度」でいうと、竹内先生の「頭がよみがえる算数練習帳」の方が上だろう。しかし「算数練習帳」の方は、大人をターゲットにしているので、「よみがえる」だけでも目的が達せられるのに対し、芳沢先生の本ではまだ読者が知らないであろうことも対象にせねばならない分難易度が高い。「役に立つ」のウェイトが芳沢本の方が大きいのだ。
だから順序としては、出版順とは逆に本書を読んでから算数練習帳に取りかかるというのがいい読み方だと思う。
それにしても、コマネチ大学といい、数式の新書進出といい、今年は数学好きの本好きには実に収穫多い年だった。まだ1ヶ月半残っているけれども、まだまだあるのだろうか。クリスマスプレゼントを待つ子供のような気分だ。
Dan the Mathphilia
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