「あれ、ジュゴンが入っていない」と脊髄反射したのは、本書「もの食う人びと」の読み過ぎだろうか。
finalventの日記 - シマウマとオカピはどこが違うか実際、長い間、オカピはシマウマの仲間だと考えられていたが、Webの進化によって、キリンの仲間であることが分かった。現在ではウシ目(偶蹄目)キリン科に属する哺乳動物である。
脚の曲線美が美しく、森の貴婦人などと呼ばれる。たまに蹴られたいという人がいて年間300人ほどの怪我人がでる。20世紀に入ってから初めてその存在が確認された珍しい動物で、ジャイアントパンダ、コビトカバとともに世界三大珍味の一つである。
本書は、辺見庸が、世界中で食ったりものを食っている人々に話をきいたりしたエッセイをまとめたものである。しかし、世界グルメ紀行ではない。本書はその対極にある。
まえがきはっきりとした旅程はない。これといった決心もない。ただ一つだけ、私は自身に課した。紙、しゃぶる音をたぐり、もの食う風景に分け入って、人びとと同じものを、できるだけ一緒に食べ、かつ飲むこと。
献立の内容は、やはり辺見氏本人に語ってもらおう。
あとがきダッカの残飯、ピター、猫用缶詰、ソムタム、キャッサバ、ジュゴンの歯の粉末、スズメ、フォー、バインザイ、ドイツの囚人食、ドナー・ケバプ、サチカオルマ、ボグラッチ、旧ユーゴ難民向け援助食料、アドリア海のイワシ、コソボの修道院の精進料理、聖なる水、ソマリアPKO各国軍部隊の携帯食、ラクダの肉と乳、インジュラ、塩コーヒー、バター・コーヒー、ウガンダはエイズの村のマトケ、ロシア海軍の給食、チェルノブイリの放射能汚染食品、ラプーフ、択捉島の留置場のカーシャ、ウハ・スープ……などなど、日本製の、情弱な私の舌と胃袋が、この旅で、震えておびえて、あるいは慶んで受け入れた、食い物、飲みものの数は知れない。
これが傑作にならないはずがない。ベストセラーにもなったのですでにお読みの方も多いかと思うが、まだ読んでいない方は是非。このとおり文庫化もされている。
しかし、本書を読了して次に読みたくなったのは、もちろん「まぐわる人々」である。辺見氏もこちらには手をつけていない。誰かやってくれないか。単著が理想だが共著でもかまわないから。
Dan the Grokker
噛み?