タイトルは故・星新一の作品から。

私は以下をずっと気にかけていたのだけど、今回の安田さんの新entryでやっと何で引っかかっていたのかがわかったように思う。

安田理央の恥ずかしいblog - 「エロの敵」ブックマーク及びラジオ出演
その小飼さんのエントリーの中で「日本国外の状況が、『逆輸入モノ』関連を除いてあまりないこと」が残念と書かれていました。そこで改めて気づいたんですが、日本のエロメディアって、黎明期を覗くと、ほとんど海外からの影響を受けていないんですね。他の表現文化で、これほどまでに海外の影響を受けていないジャンルって希有なんじゃないかなぁと。こうした切り口で日本のエロメディアを考えていくのも面白いなぁと思いました。

私は上記の意見に対し、「いや、すでに外国人はすでに日本人の性欲のかなりの部分を担当しているのではないか」という異論を抱いていた。少なくとも「エロ表現」ではなく「エロ実行」に関してはそうなのではないかと。

安田理央の恥ずかしいblog
風俗が無くなったら、みんな地下に潜ってしまい援交や違法な裏風俗がはびこる、なんて話もありましたが、実際にはそこまでして遊びたいという人は少ないようです。気軽に遊べたからあれだけ平成風俗が流行ったのでしょうね。じゃあ、その性欲は、今はどこへ向けられているのでしょう。

私は年に数回ほど、新宿や渋谷で「ビバーク」する。そこから帰宅するタクシー代を逆算すると、その方が安いからだ。サウナで酒気と疲れを抜いた後、マンガ喫茶に行けば、始発はすぐそこだ。「夜の客」としてはこのとおりの「スカ」なのだが、そんな私にも「オニイサン・マッサーヂイカガデスカ〜」という、たどたどしいがたくましい声が必ずかかる。その後にあまり小声になっていないけど、形の上では少しトーンを落とした声で「ホンバンオッケーヨ」と一言添えてあるところから見て、そこでどんな「マッサーヂ」が行われているか推して知るべしだろう。

問題は、この状態が2006年の今も続いているということだ。今では新宿や渋谷だけではなく、東京駅でも同様の客引きに出くわす。

勘違いしてほしくないのだが、私はお上にこの状況を浄化してくれとは少しも思っていない。むしろ彼女たちがどんな搾取を受けているかが心配でならないぐらいだ。しかしそんな心配が無粋に思えるほど、客引きの彼女たちの声はたくましい。

結局のところ、お上の浄化によって被害を被ったのは日本人ばかりなのではないか?殺虫剤を播いたら増えたのは「害虫」ばかりという状況にそっくりなのだ。不滅でないのは日本人のエロ業者だけで、日本におけるエロというニッチそのものは不滅であり、空いたニッチのかなりの部分は外来種で埋められたのだ、と。

エロは、いつだって砂上の楼閣なのです。

いや、砂上の楼閣なのはエロ業界であって、エロそのものはエアーズロックなみにカタクフトソソリタツイチモツなのではないかと。セーエキの流れは同じくしてもとのオトコにあらずとでも言おうか。

しかし日本では、むしろその上に砂上の楼閣を立てるのに熱心に思える。エロ業界の規制緩和はむしろ先進国においてはむしろトレンドで、そうした場所では有権者がエロから目を背けず正面からその問題を取り上げて、少しずつ規制を外しているように見える。それに対して、この国ではエロは正視するのは御法度だけれども、横目で見るならユビキタスという奇妙な状況にあるのもそのためなのかも知れない。

私自身は「正面突破」と「柳に風」のどちらがいいかはわからない。が、日本人とてある時は「逆輸入モノ」を通して、またある時は「外国人労働者」を通して、こうした外国および外国人による影響は享受しているはずで、その点を見ればやはり「海外からの影響を受けていない」というのは、傲慢なただ乗り論に聞こえてしまうのです。

Dan the Erotic Being