私が寝込みうどんになっていた間に、こんなものが出たらしい。
やっぱ電話はダイアルに限る....という戯言はさておき、改めて感心するのは、Jobsの言動--ではなくその欠如。
Life is beautiful: CES vs. MacWorldまずは、基調講演だが、ビル・ゲイツの基調講演と、スティーブ・ジョブズの基調講演を比べると、圧倒的にスティーブ・ジョブズの勝ち。商品の魅力と言う意味でも、ビジョンに関しても、圧倒的な横綱相撲であった。
確かにJobsの"Reality Distortion Field"は見る者を圧倒するが、JobsがJobsたるのは、準備が出来るまでそれをおくびにも出さない情報統制の方。この「ため」があるからこそ、いざ発表の時のショックが大きくなる。
一社で製品の全てをまかなえたかつてとは異なり、最終製品が各社のコンポーネントのマッシュアップからなる現在、これはますます難しい。自社はとにかく、協力各社にまで箝口令を敷くのは不可能に近いからだ。だから最近では、VistaにしろPS3にしろ、何年も前からロードマップを発表し、ユーザーを「もういくつ寝ると」モードにまであらかじめ持って行こうとする。
ところがAppleは、いまだに「奇襲」に成功しつづけている。Intel Macの時にはIntelと5年以上、そして今回のiPhoneではCingularと2年以上、協力体制を取り続けて来て、しかもそれを隠しおおせている。こんな真似は今やCIAにも出来ないかも知れない。
I skate where the puck is going to be, not where it has been.
-- Wayne Gretzky
Jobsが講演で引用した言葉だが、Jobsが凄いのは、パックに忍び寄る彼の姿を誰にも見せない事だ。そして人々はここ一番の時に彼がパックの真ん前にいることを見て驚愕するのだが、それは実は魔法ではないのだ。
Life is beautiful: CES vs. MacWorld技術的にどうだとか、ビジネスとしてどうだ、ということを硬いことは抜きにして、純粋にエンジニアとして考えると、iPhoneは「ぜひともチームの一員として開発に参加してみたい」商品。そんな商品の開発に関われるアップルのエンジニアは本当に幸せだろうし、それを可能にしているジョブズのリーダーシップにはひたすら脱帽である。
Jobsが凄いのは、そんなエンジニアたちに自分のやっていることをひけらかさないようにするところだろう。それを遵守するのは、腕のあるエンジニアこそ難しい。NDAを交わせばすむ問題ではないのだ。それもAppleだけで完結しているのであればまだ納得もいくが、それを他社にも納得させ徹底させている点において脱帽ものだ。
Jobsの見た目の派手さに見とれている人は、Jobsが何を言わないかにもっと注目すべきだろう。
Dan the Apple User for Two Decades
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