「日本社会で起業するため本当に必要な9つのモノ - GIGAZINE」に対する返事。
- はじめに
- ブルーオーシャンなんてあなたには必要ない
- やつらのロングテールはあなたのヘッド
- そのプロダクトは何日後にリリースされるのか
- お前が死ねば別の誰かがとってかわる
- 代表取締役とCEOと社長と社員はあなた
- 掛け算と割り算をあきらめられるか
- ロジックが間違っていても利益は出る
- 世の中には仕事がたくさんあるという現実
- 挫折から立ち直るのに方法なんてない
- あなたが起業するために必要なモノ
はじめに
ここでの話題は、「起業」です。読んで時のごとく「業を起こす」ことです。会社を起こすことではありません。それは「起社」と本来呼ぶべきでしょう。起業するのに会社が必要なんて誰が言ったのでしょう?
起業はまた「続業」、すなわち「業を続ける」ことでもありません。起業と続業に必要なのは明らかに違う技術ですが、これを混同しているひとがあまりに多い。そして「続業」の重さにめまいがして、簡単な起業を諦めてしまっているのです。なんとももったいない。
ブルーオーシャンなんてあなたには必要ない
あなたは何か新しいことをしようとした時に、常に「これで世界を変えてやる」と思ってやってますか?そういう人に必要なのは資本家ではなく精神科です。
たいていの場合、それは「自分と自分の身の回りを変えてやる」程度のことだと思います。そう。あなたが飛び込むのはオーシャンではなくパドル(puddle;みずたまり)なのです。これなら、そこに誰かがすでにいれば自然と飛び込むのはやめますし、そもそも「変えてやる」気もはじめからおきません。オーシャンは続業の問題であって起業の問題ではありません。
やつらのロングテールはあなたのヘッド
地球規模のオーシャンではそれがロングテールにすぎなくても、パドルの中のあなたにはそれは充分ヘッドなのです。そしてそれがヘッドでなければ、あなたは起業するべきではありません。たとえそれが続業の過程でテールになっていくのだとしても、起業時点はそれはあなたにとってのヘッドでなくては、業の対象に対して失礼です。尻尾扱いされてうれしい客がどこにいますか。
そのプロダクトは何日後にリリースされるのか
業とは何かをなすこと。さすれば起業は何かをなすことをはじめること。だから起業において重要なのは、本来の起業の目的だったプロダクトを、起業してからどれくらいの期間でなし得るか、ということ。これが長ければ長いほど、当然起業は重たいものになるのは明らか。会社という器もそれを受け入れるための資金も必要になるでしょう。
しかし、例えばWebサイト一つ、いや、blog entry一つであれば、思い立ったその場で出来ます。これも立派な起業なのです。
お前が死ねば別の誰かがとってかわる
あなたが取って代わり難い存在になるのは、続業してかなりの時期を経てからと知るべきです。そもそも起業するに至ったそのニッチは、あなた以外の誰も必要としていなかったから空白だったんじゃないですか?
「何年持つか」の前に、「そもそもそれを持たせる必要があるのか」を知る必要があるのです。そしてそれを知る一番簡単な方法が起業なのです。駄目ならやめちゃうだけのこと。
代表取締役とCEOと社長と社員はあなた
「経営と資本の分離」だの「○●と××の分離」なんていうのは、続業の領域に入ること。重要なのは、まずあなたが代表取締役とCEOと社長と社員とその他なんでも、それをやるのに必要なものを手配できるかということ。もちろんその手配の中には、「アウトソースする」だとか「いらないからやらない」というのもありですが、起業においては分離ではなく統合こそが必要だと知るべきです。
掛け算と割り算をあきらめられるか
もし起業がうまく行った場合、金が足りない従業員が足りないということが起こりえます。ここで何も考えずに足りないものを調達するから、起業が続業化してしまうのです。その業を本当に大きくする必要があるか考えましょう。必要ないと思ったらそのままにしておきましょう。要するに、掛け算をあきらめる、ということです。
順序が逆になりましたが、上で述べた「分離」は割り算になります。そもそも起業した時点ではあなたの事業は「1」なのです。割ってる余裕はありません。
逆に、これらを諦めきれなくなった時が、続業のはじまりです。
ロジックが間違っていても利益は出る
起業に必要なのはロジックではありません。利益です。
あなたはそれをやることで利益を得る -- 金銭とは限りません -- という感触があったから起業したのではありませんか?それで実際にやってみると、当初の見込みとは違っていたことが必ず出てきます。そう。ロジックははじめは必ず間違っているのです。
こうしたロジックとリアルの違いを知ることそのものが、起業の利益の最大のものだと言ってもいいぐらいです。似たような事例の似たような経験者は金で買えますが、あなた自身の経験は金では買えないのです(でも金はかかりうるという点はお忘れなく)。
世の中には仕事がたくさんあるという現実
日本には350万社ほどの会社があるそうですが、これらの会社は世の中が求めているもの、必要としているものを全て供給していますか?
そんなことはありません。あなたの部屋は誰が掃除しますか?あなたのゴミは誰が出しますか?実は会社が担っている業などというのは、世にある業の氷山の一角に過ぎないのです。
そしてこの業の増加は、人口の増加をはるかに上回っています。100年前に職業が何種類あったか考えてみて下さい。いや、わずか10年まえだっていい。blog一つとったって、それは10年前には存在していなかったのです。
はっきり言いましょう。仕事は実はいくらでもあるのだと。
挫折から立ち直るのに方法なんてない
方法というのは、同じ状況に対して同じやりかたを適用すると、同じ結果が返ってくることを指します。しかし、同じ挫折というのはありえない。たとえ10年前と同じ仕事を同じようにやって同じ失敗をしたとしても、あなたも世の中も変わっているのです。同じ方法なんて使えません。
挫折から立ち直るただ一つの方法は、立ち直ることそのものです。トートロジーもいいところですが、ただ一つしか事例がないのですからトートロジカルになるのは当然なのです。いっかいこっきりの状況に、いっかいこっきりの方法なのですから。
しかし、方法はなくても、それに慣れることは出来ます。起業というのは実は失敗の連続です。俗に千三つなどといいますが、最初の一回でうまく行ってしまうこともあれば、998回目にしてはじめてうまく行くことだってあります。だから起業の挫折から立ち直る唯一の方法は、また起業することなのです。
あなたが起業するために必要なモノ
実はたった一つしかありません。
起業によって生み出されるものを欲する人が、あなた自身を含め一人でも存在するか。
これだけです。ほとんどの場合、「欲する人」はあなた自身でしょう。だったら迷わず起業しちゃえばいいのです。それが欲しかったものと違ったら、また起業しなおせばいい。繰り返しになりますが、起業とは、あなたがまだこの世でお目にかかっていないものを、あなた自身の手で手に入れること全てを指します。実は世界の別のどこかにそれがあるかも知れないだとか、他にそんなの欲しがる人がいるかわからないだとか、そんなことははっきり言ってどうでもいい。必要なのは、あなたがそれをあなた自身の手で手に入れたいか否かということだけです。
そうしているうちに、千に三つの機会が、以下の設問とともにあなたにも巡ってくるでしょう。
事業によって生み出されるものを必要とする人が、あなた以外にも存在するか。
こうなって、はじめて「続業」なのです。その意味において、世間で言うところの「起業」のほとんどが、今まで副業としてやっていたことの主業化だとか、個人でやっていたことの法人化といった「続業」なのです。
確かに続業は大変です。そして続業化まで行かないと食えない場合もほとんどです。しかしどんな続業も、はじめに起業があったのです。
だから、続業にまつわる難事は、起業の時にはスルー力を発揮しておきましょう。
起業なんて、簡単です。ただやってみればいいのです。続けるかどうかは、明日の自分に聞けばいいのですから。
Dan the Starter-Up
それにしてもこの人は他人の足を取るしか趣味ないんだろうか