私には、主題の「死んだ」企業のことより、むしろこちらが気になった。

Microsoft is Dead 日本語訳
Google が Yahoo とどう違うのかということについて話をしていた。私は、Yahoo がマイクロソフトを恐れたためにスタート地点から逸れてしまったと言った。それこそが、Yahoo が自分たちのことをテクノロジー企業でなく「メディア企業」だと位置づけた理由である。

まずは、以下を見て欲しい。

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Web 2.0の嵐が吹き荒れたこの二年で見ると、Googleはおろか、Paul Grahamに死亡宣告を出されたMicrosoftの下を行っているのである。

実は日本はもっとひどい。

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日本では比較になる会社がないので各種インデックスとの比較だが、ふるわないJASDAQよりの下を行っている。

これらのチャートは、見ての通りYahoo!提供のもので、こういうサービスを提供していただいていることに改めて感謝したいが、悪い冗談を見ているような気分にならないだろうか。

なんでこうなっちまったんだろう。

Yahoo!がテクノロジーで遅れを取っているかというと、そうとも言い切れない。

au.alpha.yahoo.com [N] Yahoo! の新しい検索エンジン「alpha」
Yahoo! から「alpha」という検索エンジンがリリースされています。

これ、私も使ってみたが、なかなかイケている。Webページがコンテンツそのものではなくコンテナーで、コンテンツは必要に応じて引っ張ってくるというのは実にWeb 2.0的で、何より使いやすくウザくない。

実はこうした動きは、yahoo.comの方ではかなり進んでいる。以下をご覧頂こう。出来ればご覧いただくだけではなく、実際にアクセスして見て欲しい。


*.yahoo.co.jp

http://www.yahoo.com/
US (合州国)
http://uk.yahoo.com/
UK (イギリス)
http://de.yahoo.com/
DE (ドイツ)
http://tw.yahoo.com/
TW (台湾)

かなりAjax化が進んでいるのがおわかりいただけるだろうか。出来ればさらにyahoo.comの方のアカウントにサインインして(なければアカウントを新規作成して)からもう一度アクセスして欲しい。そう。国(リージョン)が変わっても、シングルサインインになっているはずだ。

さらに余裕がある人は、 www.yahoo.co.uk など、リージョナルドメインをアドレスバーに打ち込んでアクセスしてみて欲しい。uk.yahoo.comなど、yahoo.comの方にリダイレクトされるはずだ。

こうした「One Yahoo」とでも言うべき動きの例外が一つある。言うまでもなく日本だ。

www.yahoo.co.jp

http://www.yahoo.co.jp/
日本

このように、日本だけがドメインのリダイレクトも行わず、IDの統一からも外れていて、そしてインターフェースも「見慣れたまま」になっている。Yahoo! != ヤフーなのだ。以下、本entryではYahoo! Japanは「ヤフー」、yahoo.comはYahoo!と記するので注意。

とはいえ、ヤフーがYahoo!よりさらに遅れているとまでは言い切れない。ケータイや地図など、日本の方が進んでいるように見えるサービスも少なくない。なんといっても、他の国と違ってYahoo!は日本では「勝って」いるのである。既存のユーザーを驚かせるような変更は、Yahoo!よりも困難であることは充分理解できる。

にも関わらず、なぜYahoo!は「死にかけているよう」に見えるのだろうか。そして、ヤフーからYahoo!の危機感が感じ取れないのだろう?

そのヒントの一つが、メールにある。

Microsoft is Dead 日本語訳
Gmail は彼らが一線を越えたものの一つだ。Gmail は、彼らが検索以上のことができることを示した。

Gmailの何がすごかったかといえば、Webメールに懐疑的だったギーク達が、雪崩を打って使うようになったことだ。SPAMともほとんど無縁。文字コードは適切に処理され、全文検索もあっという魔。Googleは何をすればGeekたちに訴えるかを完璧に把握していたのだ。

対するYahoo Mailはどうだろうか。

悲惨の一言である。確かにSPAM対策は非常に進んだ。SPFやdomainkeyといったSPAM対策においては、Gmailと遜色ないようだ。しかし@yahoo.comはSPAMの発信元として、文字通り死霊と化して久しい。本entryを書くにあたって改めて使ってみたのだが、私のSPAMフィルターに見事に引っかかった。今更SPAMフィルターのアレルギー治療をするのは私としてはごめんである。

機能面もいただけない。特にリッチテキストとプレインテキストを全体の設定でしか出来ないことと、文字コードの設定がなっていないことは、Geekたちに「Yahoo Mailだけは使うな」と言っているに等しい。しかも配送が鬼のように遅い。domainkeyに対応していないと特にそうだ。ヤフーの方もこれは同様で、配送の遅れこそないものの、文字コードはiso-2022-jp決め打ちで、iso-2022-jpに対応していないUnicodeの文字列をペーストすると見事に文字化けだらけのmailが送られる。

はっきり言おう。Yahoo!本体はとにかく、Yahoo Mailは死んだと。いくら容量を増やしても無駄である。というかきちんと死んだものとして成仏させた上で、ymail.comでもyahoomail.comでも何でもいいから、新規ドメインで再スタートを切るべきだ。

このmailがらみのGoogleとのあまりの違いは、Yahoo!の戦略のどこが間違っているのかを如実に示している。

Yahoo!は、Geeksを顧みていないのだ。

Web 2.0への対応にしても、どちらかというと「目で見て」わかる部分の対応はGoogleをも時には凌駕しているのに、目に見えにくい、しかしGeeksが見落とさない部分の技術があちこちでほころびている。

Microsoft is Dead 日本語訳
コンピュータの世界の人たちは皆、今では Mac か Linux を使っている。Windows はおばあちゃんのためのものだ。90年代は Mac がそうだったように。つまり、デスクトップがもはや重要でないだけでなく、コンピュータを大事に思う人は、どのみち誰もマイクロソフトの製品を使わないのだ。

これがテンプレート化されて、

ネットの世界の人たちは皆、今では Google を使っている。Yahoo! はオヤジのためのものだ。2000年代は MSN がそうだったように。つまり、ポータルサイトがもはや重要でないだけでなく、ネットを大事に思う人は、どのみち誰もYahoo!のサイトを使わないのだ。

となってしまうことを私は少なからず危惧せずにはいられない。

さらに日本に目を転じると、危機感どころかパラダイス鎖国実施中の印象すらある。確かに日本ではヤフーの強さは圧倒的だ。しかしそれを言えばPC-9800シリーズだってそうだったのだ。

四月一日発足の研究所のプレスリリースからも、危機感はそれほど感じられない。村井純を最高顧問に据えたというのは、その最もたるものでないか。勘違いしないで欲しい。私は村井先生を尊敬しているものの一人だ。まだインターネットのイの時もない時に先生が奮闘してくれたからこそ、日本もインターネットで遅れをとらずに済んだことを否定できるものは誰もいまい。

しかし村井先生はファビウスなのである。ファビウスはローマを決定的敗北から救ったけれども、ハンニバルに対して勝利を収めるにはファビウスだけでは不足だったのだ。ヤフーに必要なのはスキピオなのではないか?

Microsoft is Dead 日本語訳
Google は、良い意味でも悪い意味でも今間違いなく最も危険な企業である。

同感である。彼らは全盛期の Microsoft よりも危険な存在となりうるし、事実そうなりつつある。それでも Microsoft の全盛期でもその危険が決定的にならなかったのは、Apple が存在したからだ。

Appleがそこから復活したように、Yahoo!も復活するのだろうか。それを願わずにはいられないのだが....

Dan the Frequent User Thereof