献本御礼2

初出2007.07.13; 2012.03.01 第二版に応じて加筆

ちょっと難しいけど、めっちゃ面白い。やはり技術啓蒙本はこうでなくっちゃ。

本書「携帯電話はなぜつながるのか」は、文字通り、携帯電話がつながる仕組みを初心者向けに、しかしプロでも納得する(であろう)ディテールで解説した本。「プログラムはなぜ動くのか」をはじめとする、「日経BPの『なぜ』」シリーズ最新刊。

目次
第1章 「携帯電話」とは何だろう
第2章 携帯電話端末と無線基地局を無線でつなぐ
第3章 無線基地局を抜けてコア・ネットへ
第4章 電波で高速にデータを送る
第5章 IPネットを抜けてインターネットへ
第6章 LTEでさらに高速に通信する
第7章 携帯電話を便利にする付加機能
参考文献
あとがき
謝辞
索引
著者プロフィール

携帯電話が「だいたいこんな感じ」で動いているかどうかを知るだけであれば、「進化するケータイの科学」でもこと足りるが、携帯電話の凄さまで感じ取るには、本書程度の内容は必要であろう。

そう、携帯電話は、ありとあらゆる点ですごいのだ。今では「ケータイ」とカタカナ書きにされる、最も身近なハイテクツールは、実はアナログもデジタルも、最もすごい技術を詰め込んだシステムである。本書を読了した後は、私自身すごいということは知っていたし、本書の内容の一部は各方面から少しずつ伺ってはいたが、本書を呼んでそれがはじめて体系的に体感できたように思う。

例えば、携帯電話のアナログ部分である変調方式。AM、FMぐらいなら誰でも聞いたことがあるだろう。PCMもCDのおかげで知っている人も少なくないかもしれない。しかし、CDMAともなると、そらで仕組みを解説できる人がどれだけいるだろうか。本書は、それを1ページではなく、一章かけて丁寧に、しかし読者に厳しく解説する。本書には電波の波形まで遠慮なく登場する。「進化するケータイの科学」がラジオ体操なら、本書は某ブートキャンプである。

たしかにさくさく読める本ではない。しかし本シリーズ(でもシリーズ名どこ?>日経BP殿)の「10年後にも通用する"基本"を身につけよう」というコンセプトを思えば、このくらいの歯ごたえはむしろ心地よい。新書では軽すぎるのだ。かといって「オライリー版型」で1000ページ超えの1万円超えというのでは、プロでないかぎり買うのは躊躇する。A4版、税抜き2400円という価格は実に良心的な設定だと思う。

当然のようにつながるために、空前の技術がどれほど投入されているか。ケータイの世界が今までとは全く違って見える一冊。

Dan the Mobile Phone (Ab)?user

追記:一つ問題を。

Q: AUの端末には、なぜGPSが事実上の標準装備になっているのか?その技術的な理由を述べよ。

本書に直接答えは書いていないが、本書を丁寧に読めばこれもわかります。

2記(2012.03.01): 第二版で大きく変わったのが、表紙がスマフォになったこととLTEをまるまる一章割いて解説したこと。いやあ、第3.9世代なんてとんでもない。OFDMってCDMAとこんなに違うのか!でも(モバイル)WiMAXも紹介ぐらいしておいて欲しかった。オワコン(いや、オワコム(オワッタ通信手段))気味な風向きとはいえ、今のところは普及率では一歩上だし(私もWiMAX端末は持っててもLTE端末は現時点で未所持)、IP常時接続という点ではある意味LTEより先進的なところもあるし…