そうなったのには、理由がある。
Matzにっき(2007-08-20)他の人がStepanに「おめでとう」を言う中、Stallmanは追い打ちをかけた。
The Most Excellent and Lamentable Tragedy of Richard Stallman ? Edward O’ConnorIt doesn't take special talents to reproduce -- even plants can do it. On the other hand, contributing to a program like Emacs takes real skill. That is really something to be proud of.
It helps more people, too.
子孫を作るってのには大した才能は要らない。植物でさえできることだ。 それに比べてEmacsのようなプログラムに貢献するのは誇るに足る本当の才能だ。
もっとたくさんの人を助けることになるしね。
本書、"Free as in Freedom"は、副題に"Richard Stallman's Crusade for Free Software"とあるとおり、Richard Stallmanの伝記。そこには、RMSがどんな功績を上げたというかだけではなく、いかにしてSt. Ignuciusとしての今の人格を得るに至ったかまで、本人のみならずその家族や周辺も含めたインタビューで明らかにしていく。
本書を読めば、彼が決して
Matzにっき(2007-08-20)Stallmanの欠点は他人の感情を理解しない点だと思う、という話。
というわけではないことはわかる。それどころか、彼は人の感情を読む点においても、他者に劣るどころかそれに勝る才能を持っていることは明らかだ。さもなければ、彼は計算機は動かせても人を動かすことはなかっただろう。
しかし、少なくとも子供に関しては話が別なのだ。この話題は、彼にとっては地雷を踏まれたも同然なのだから。その地雷は、8歳の時に両親の離婚という形で埋め込まれた。
p. 31For the net decade, Stallman would spend his weekdays at his mother's apartment in Manhattan and his weekend at his father's home in Queens. The shuttling back and forth gave him a chance to study a pair of contrasting parenting style that, to this day, laves Stallman firmly opposed to the idea of raising children.
これは著者のWilliamsがまとめたものだが、RMSも自らの言葉でそれを肯定している。
p. 199I wouldn't have been less fascinated with computes if I had been popular and all the women flocked to me. However, it's certainly true the experience of feeling I didn't have a home, finding one and losing it, affected me deeply.
生産的(productive)な人が生殖を肯定的に捉えられなくなる(underproductive)になることは実は珍しくない。数学者だとヒルベルトがそうだし、周りをよく観察すれば、そういう人は少なくない。そしてたいていの場合、そういう人々は幼少の時の心の傷が癒されぬまま長じている。
そういう人々は、得てしてproductiveになることで自らを癒そうとし、そしてreproductiveであることを否定することで、それに「かまける」ことがない分さらにproductiveになったりもする。彼ら自身が好む好まざるとに関わらず。
こういった人々を見ていると、かつての自分(いや、今もそうかも)を見ているようで胸が締め付けられる思いがするが、それでも、まだproductivityだけでも認めてもらっているだけマシかも知れないという気持ちも同時にわき上がる。彼らは「人の気持ちがわからない」かも知れないが、それでも自らの居場所を確保するだけの能力(gift)を持っていたのだから。
そして少なくとも、合州国においては人の気持ちがわかること(affinity)に対する要求は、日本ほど強くない。「分からず屋」でも「役に立つ」のであれば、それは評価され、評価に応じた居場所が与えられる。もし彼が日本に生まれていたら、FSFを彼が生み出すまで彼は我慢できただろうか。
もちろん、EmacsやGCCを使ったりHackしたりするのに、RMSの人なりを知る必要は本来は、ない。それこそ"Not our business"だ。しかし、彼の「非人間的」な反応を見て、「他人の感情を理解しない」としか見れない人には、私も一言言っておきたい。
「他人の感情を理解しない」のは、どなたですか、と。
あなたがたは、感情ではなく表情を見ているだけではないのですか、と。
「バカの壁」を乗り越えるべきなのは、どちらがわなのだろうか。それとも、生産物は壁を越えてやりとり出来る以上、壁など知った事ではないのだろうか。
Dan the (Re)productive Man

もしくは、子育てしている嫁さんよりemacsに(種を供給している男にとって)価値があると言われたら男として反応しない男は男でないです。
以上の価値観は、それなりにまじめに子育てしないと持てないと想像しています。
しかし、RMSには理解できないらしい以上の価値観は、尊重すべき価値観であるとコモンセンスが存在すると思います。
子育て中の親に、「お前の子より emacs に価値がある。捨てて emacs に協力しろ」と言ったら、パンチされても文句言えないと思います。「空気が読めない」という話ではないです。かなりクリティカルなところに踏み込んでいます。
emacs はすばらしいですが、それ以外の価値観を卑下すると色んな人に嫌われるのはしょうがないでしょう。