かつて専門家全般を通して黙認されていたこれも、今や法曹界でしか通用しない。
la_causette: 黙って引っ込んでいるべき素人しかし、専門家の具体的な仕事に関しては、顧客等の人生ないし生命等が係っていたりしますので、専門家が素人の無責任な意見など一顧だにしないというのは当然のことだと思います。
しかも、その法曹界においても、急速に通用しなくなりつつあるように見受けられる。
なぜか。
顧客が、Whatだけでは満足できず、Whyを要求するようになったからだ。
狐の王国 ameblo vs mala事件が話題になるのは技術屋ってもんが一般の目に触れない場所に隔離されてるからなんだろなあ昔はね、それこそそういう職人さんたちが街のあちこちにいた。靴屋に行けば靴職人がいたし、自転車屋にいけば自転車の職人がいた。そういう職人さんたちは、たいてい口が悪くて、気難しくて、スマートな振る舞いなんてできるような人じゃなくて、決してお上品な人間なんかじゃなかった。
彼ら職人がそういられたのは、彼らは「いい仕事」さえしていれば、客が満足してくれたわけだ。「口は悪いが腕はいい」職人たちに、かつて素人たちは優しかった。
しかし、かつては職人が提供していたモノゴトが企業によって組織的に提供されるようになると話は変わってくる。大量生産で価格は安く、それでいて管理工学により品質は高く、極めつけにそれを口が滑らかな営業が売る。これで口は悪いが腕はいい職人たちもたまらない。結局のところ、客は「口もうまいし腕もいい」方がいいのだから。
この流れは、多かれ少なかれどんな分野もたどって来た道である。工業製品はそうなって久しい。ストッキングは破れたら買い直すものであって、修繕するものではなくなった。パソコンの「修理」もその実態は「部品交換」であって職人の出る余地はあまりない。
そして、かつては「職人」でなければ出来なかった、客ごとの知価提供もこの例外ではなくなってきている。本来「量産」できないはずのこうしたサービスも、マニュアル化されアウトソースできるようになってきたのだ。かつてソフトウェアのサポートを、プログラマー自身がやっていた時代もあった。今電話の向こうで話している相手がいるのは、バンガロールだろうかそれとも大連だろうか。
法曹界だけが、その例外でいられると、誰が言えるだろうか。
確かに法曹という専門家は「大衆化、組織化」が最も難しい組織の一つである。しかし専門家である以上、「顧客の奴隷」であることを免れない。そして、今や顧客たちは法曹に対しても大衆化、組織化を要求している。既存の専門家にさんざん揶揄されつつも、法科大学院が導入され、そして裁判員制度が導入されようとしているのはその何よりの証拠だろう。「素人を黙らせておいた」ツケを、こうしてまとめ払いさせられているわけだ。
それでは、「素人に黙っていて欲しい」専門家は、今後どうするべきか。
方策は、結局のところ二つしかないのではないか。
- 口のうまい営業を挟む -- 染之助・染太郎方式
- 自ら口もうまくなる -- ホンダディーラー方式
分業が比較的楽な業種に関しては、1.の方式がすでに多くの知的労働の世界でも取り上げられているように見受けられる。ITの世界でも例外ではなく、多くの場合「ディレクター」という職種がこれに相当する。
狐の王国 ameblo vs mala事件が話題になるのは技術屋ってもんが一般の目に触れない場所に隔離されてるからなんだろなあ技術屋がお上品で人あたりがよくなったら、スーツどもなんかいらないんだよ。営業職の価値観に技術屋を押し込めるな!
そのスーツ、というわけである。この場合、幸いなことに職人は口の悪さを直す必要は少ない。ただし、職人はこのスーツないし別の職人に対してしか毒舌を吐けない。この「mala事件」でなぜmalaが支持されているかといえば、彼が「腕のいい職人」として認められていることもさることながら、彼が「無能でクズ。アホでバカ。低脳でワーキングプア」と呼んだのは、別の「腕の悪い職人」だったからだ。もしこれが顧客に対しての台詞であったなら、即刻首である。少なくとも、私が彼の上司であればそうしていた。
しかし、自ら素人に対して語る事を要求される職種では、そうも言っていられない。腕だけではなく口も磨かなければ今後務まらないのだ。ちなみに「ホンダディーラー方式」というのは、そこでは営業よりもメカニックの方が丁寧な接客をしているから。前に乗っていたのがホンダだったのだが、このギャップには妻ともども苦笑させられた。もっともこれが逆だったら我々はキレていただろうが。
話を元に戻すと、医療は法曹といった、客の不運・不幸を糧にする専門家は、まさにこれに分類されるだろう。客は「よいこと」であればワンクッションおいても聞いてくれるが、「わるいこと」は担当の口から直接聞きたいものなのだから。実際、医療スタッフの「ホンダメカニック」化は著しい。目上口調で話す医師はかつて珍しくなかったが、今やなかなか目にしない。
法曹界も、そろそろ備えた方がいいのではないだろうか。特にヤメ検の諸氏は。
そして、いずれは「ホンダディーラー方式」だけでは足りなくなってくる。医療がまさにそうだ。現場レベルでの「口磨き」(ムンテラにあらず)は、かなり進んでいる。それでもスポークスパーソン不在のおかげで、マスメディアにさんざん痛い目にあわされているのはご存じの通り。
最後にもう一度繰り返す。職人は、それがどんな職種であれ、客の奴隷である。そして客には「潜在顧客」も含まれる。すなわち素人である。
それがわからない職人は、尼寺ではなくアマチュアへ行くべきだ。
Dan the Reckless Slave of Yours
>職人は、それがどんな職種であれ、客の奴隷である。
奴隷だと思って仕事をしたことはないですね、
できる部分は最善を持って、無理な部分はご説明して
ご要望に近い形になるように、ご存知ないような部分は
ご案内していきます。
そして仕事を仕上げていく。
どちらかというと、お客様との間に立っているときの
営業さん(「スーツ」ですか?)のほうが奴隷に見えますけどね。
きちんとしたお客様は、そんな対応はなさらないものですけどね。