吉岡さんのおかげで書評在庫が少しずつ片付いて行く。ありがとうございます。
ユメのチカラ: 職業としてのプログラマそして、そのような若い人たちを発見、発掘するのもわたしたちの責任だと思う。
その期待に答えてくれると思って買ってみた。
本書「プログラマー現役続行」は、47歳、現役29年目のプログラマーが、その秘訣を一冊にまとめたもの。
目次- 第01章 ソフトウェアは「人」が作る
- 第02章 プログラマー現役続行
- 第03章 論理思考力
- 第04章 読みやすいコードを書く力
- 第05章 継続学習力
- 第06章 コンピューターサイエンスの基礎力
- 第07章 朝型力
- 第08章 コミュニケーション力
- 第09章 英語力
- 第10章 コードレビュー力
- 第11章 若い人たちへ
参考文献
目次だけ見ると、たしかに論点をきちんと抑えた佳き啓蒙本に思える。実際これらの論点に私としては異論はない。
問題は、その姿勢。
p. 7私は、1999年頃から若手に対する技術指導を行っていますが、特にこの数年ソフトウェア業界に就職してくる若者に顕著なことがあります。以前の若者が学生時代に身につけていた学習方法を、身につけないまま社会人となっている人が多いのです。
orz
そう。上から目線。これじゃ若手は耳を傾けませんて。
それでも我慢して読み進む。
P. 20この29年間に私が学んで使用してきたプログラミング言語も、FORTRAN、APL、PL/I、Pascal, Z80アセンブリ言語、Forth、C、Mesa、C++、PL/SQL、Javaと多岐に渡っています。
Algol系ばっか。Lisp系一つもなし。LL一つもなし。SQLを数に数えるなら正規表現やHTMLやXMLも数に入れておいた方がよろしいのでは。どこのミスターサタンですか。
私より10年長い人生を送っている割りには、ずいぶん少なく見えるんですが。
本書に一番欠けている視点。それがレトロスペクティブ、ではなくて「ふりかえり」。実は10年以上現役プログラマーなら、後輩を師匠とあおぐ場面が絶対あるはず。特に最先端のものに関してはそう。筆者が言う「匠」級のプログラマーでさえ、弟子から学ぶ必要があるし、実は匠ほど巧みに弟子から盗む。
Good artists copy. Great artists steal.
[いい芸術家は真似る。すごい芸術家は盗む。
これを言ったのが誰だかご存じだろうか。Pablo Picassoその人である。この人がなぜ生涯芸術家でいられたかいえば、まさにこれをやってきたからだ。もちろん盗み先として上も下もない。のだが、ことプログラミングにおいては、業界速度が速い分、どうしても下から盗む機会が多くなる。現役30年近くにもなって、下から盗めないどころか盗むそぶりもしないというのでは、
意味のねえ精神論説く暇あるんだったら、技術を身につける場所と、身につけた後のビジョンを説いてくれっての - NC-15精神論しか言えねえ説教ジジイはフナムシほどの価値もねえよ。
とまでは言われないだろうけど(実際本書には精神論はさほど登場しない)、フナムシと間違えられてデバッグされるのがオチのように思える。
それでも、同じ社内であればお山の大将、というより牢屋主でいられるかも知れない。しかし外に目を向ければ、ざっとblogosphereを見渡しただけで、20代どころか10代のすごい連中がごろごろいる。そういう連中の「上」でも「下」でもなく「同じ高さ」で意見を交わせる、いやどつきあえるというのは本当に楽しいし、そのおかげで私は今でもパートタイムとはいえ現役でいられるのだと痛感している。
とはいえ、本書に書いてあるお品書きそのものは間違っていない。加齢臭に鼻をつまめば何とか味わえる。上の目次を出して、それに沿って一冊書き上げただけでも、私は本書を評価する。
だけど、今度はもっと視野の広い人のそれを読みたい。同じ地球人でもミスターサタンでなくてクリリンが書いたの。吉岡さん、いかがです?
Dan the Learner by Teaching

このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。