以下に関しては同意だが、

はてブのタグとニコニコ動画のタグの違い - ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]
おなじタギングという仕組みなのに、違うのだ。

以下に関する私の印象は90度異なる。180度でなくて。

はてブをはじめとするソーシャルブックマークを使うときのタグは自分自身の為につけるのに対し、ニコニコ動画をはじめとする画像共有系のシステムの場合はタグも他人の為につけているような節が見えるのだ。

まず、はてブことはてなブックマークの場合。

確かに、個々のタグは自分自身のために付けられる。私のセルクマ(セルフブックマーク)に必ず付けている[dankogai][小飼弾]もその例外ではない。ちなみに私が自分以外の記事をブックマークするときに使うのは、[!dankogai]である。

ところが、はてブにはタグクラウドという機能もあって、これにより個人により付けられたタグが、他人の為にも役に立つ。さらにはてなは「私タグ」と「公タグ」を別URLで取り出せるようになっている。

私タグ
http://d.hatena.ne.jp/hatena_id/tagname
http://b.hatena.ne.jp/dankogai/dankogai
公タグ
http://d.hatena.ne.jp/t/tagname
http://b.hatena.ne.jp/t/dankogai

後者の方は、特定の話題を取り出すときには特に便利で、私はよくhttp://d.hatena.ne.jp/t/タグ名とブラウザーのロケーションバーに直打ちしている。

ところが、上の二つを見比べてわかるとおり、私タグと公タグでは、同じタグでも意味するところが変わってくる。「私」の[dankogai]では、その意味はあくまで"by dankogai"、すなわち「私が書いた記事」の意味であり、それ故[!dankogai]というタグもあるのだが、公タグでは「小飼弾に言及している」の意味もあれば「小飼弾を彷彿とさせる」の意味まである。最近はそれどころか、「小飼弾らしくない」という意味で[!小飼弾]というものまで登場しているのだ。

はてなの場合の問題の一つは、公タグを明示的につけられない、すなわち公タグが私タグの集合でしかないということにもあるのだろう。それゆえ[これはひどい]ぐらいになると、記事そのものがひどいのか、それとも記事が言及していることがらがひどいのかさっぱりわからず、使えるとは言いがたくなってくる。

次に、ニコニコ動画の場合。

こちらははてブとは逆に、公タグしか存在しない。一人がつけた、あるいはつけかえたタグは、全員で共有される。それゆえタグには「分類する」よりも「魅せる」ことがより強く要請される。タグ名を比較的長くとれることもあって、ニコニコ動画のタグはタグ自体が小ネタになっていて、それを反映して「ネタとしての秩序」も見られる。例えばスパイダーマンからみなら必ず「〜男」で締めるとか、ゴッドマンからみなら必ず「〜が危ない」でしめるとかといったところだ。

このニコニコタグというのは、それ自身結構楽しいので、私はタグだけ見て動画を見ないこともよくあるのだが、その一方タグ検索の精度は少し落ちてしまう。ニコニコ動画ではこの点をカテゴリーを「第一タグ」としたり、投稿者が指定したタグを「固定タグ」としたりすることである程度補完し、はてブの私タグにあたる機能はマイリストを用意するなどして対応しているが、一つの動画に対して用意できるタグが10しかなく、そしてタグを簡単に上書きできてしまうという制限もあって、それがニコニコ動画のタグを面白いがやや使いづらいものともしている。

使いやすいが面白みに欠けるはてブ、面白いが使いやすさに欠けるニコニコ動画といったところか。

もっとも、これは両者のサービスの違いを考えれば当然のことでもある。はてブの売りはブックマークそのものであり、タグはそのデータ(ブクマされる記事から見てメタデータ)の中でも重要な情報なのに対し、ニコニコ動画のタグはあくまでおまけであり、タグ以外にもタイトルでも検索できるし、それが不満でもはてブをはじめとするSBM経由で簡単にタグそのものを「外部化」できるのだから。

むしろ目下の問題は、はてブのタグ名の長さ制限と、そこから生じる必要以上に短いタグ。10文字では[セルクマに定評のあるblog主]というわけには行かない。少なくとも[これはひどい内容]と[これはひどい事柄]ぐらいは区別できるようにしたいのだが....

Dan the Folksonomist