日経BPより献本御礼。

今年、最も速く読めた一冊。

本書、「一瞬でデキる奴になる!48の心理テクニック」は、タイトルどおり、デキる奴、もう少し正確に言うと、「デキるように見える奴」になるための心理テクニック集。それがどんなものであるかは、目次を見てもらえばわかるだろう。

目次 - 日経BP書店|商品詳細 - 一瞬でデキる奴になる!48の心理テクニックより
はじめに
  1. 職場で誰からも好かれる"自己演出"のワザ
    1. 自分の"弱み"を告白するだけで、誰からも好かれ、信頼される
    2. たまに職場でドジッてみる
    3. 自分を相手より"一段下"に見せる
    4. 職場ではいろんな人にどんどん面倒をかけよう
    5. 他人をアテにしなければ、おのずと人から好かれる
    6. 根は"陰気"でも、とにかく"陽気"に見せよう
    7. "女らしさ"のアピールは状況に応じて加減しよう
  2. "逆転の発想"でたちまち仕事がデキる人に!
    1. 誰もやらないからこそ、名刺交換の練習をしておく
    2. ビニール傘は捨ててしまおう
    3. どんどん食べて宴会を盛り上げる
    4. タバコは隠れてこっそり吸う
    5. 「いらない人脈」は片っ端から切り捨てる
    6. 「最悪の場合」を想定して約束の期日を決める
    7. メールの返信では「Re:」を消さない
    8. 情報収集は「あきらめ」が肝心
  3. 相手がYESと言ってしまう"心理誘導"のコツ
    1. 言いにくいことをズバリ言う方法
    2. 親切はなるべく人前でやろう
    3. 怒られたときは切腹しそうな顔をする
    4. 毎年同じ時期に"風邪"で倒れる
    5. 人づき合いは挨拶ができれば十分
    6. 鏡の前で「凄味」の練習をしておく
    7. 謝るときは「すみません」をひたすら繰り返す
  4. "見た目"をちょっとだけ変えて信頼度アップ!
    1. "日焼けサロン"に行くと仕事がしやすくなる
    2. 姿勢をよくするだけで自信までつく
    3. アゴを上げれば強くなれる
    4. 身体を絞ろう
    5. 「口角」を20度上げる
    6. 名刺の写真はプロに撮ってもらう
  5. 言葉に頼らず部下や同僚を動かす"コミュニケーション術"
    1. ボーナスがない方がやる気がメキメキわく
    2. 入り口に鏡を置くだけで自然と身だしなみが良くなる
    3. "注意"より"アドバイス"を
    4. 公平に"罰"を与えると尊敬される
    5. キレやすい人には石像のような無表情で対応
  6. 交渉で圧倒的有利に立つ"暗示"テクニック
    1. 断られたらいっそ泣いてみる
    2. 外国人相手でも日本語で押しまくる
    3. 相手に7割しゃべらせよう
    4. 交渉を有利に進める「証拠」の使い方
    5. 名残惜しい気分にさせる"別れ上手"になろう
    6. 数字で煙に巻くワザを身につけよう
    7. 嫌われる人は「文書」で説得する
  7. すぐできる"自己暗示"でメキメキ自信がわく
    1. 酒を飲んでテレビを見てさっさと寝る
    2. 一番高い栄養ドリンクを飲む
    3. 「自分のテーマ曲」を聴きながら出勤する
    4. 社内恋愛する
    5. ムダな反省はしない
    6. 新年の目標は「仕事」よりも「温泉巡り」
    7. 「自信」さえあればうまくいく
    8. 人を感動させるプレゼンは原稿も資料もマイクも使わない
おわりに

なんだか目次だけ見ると、「見栄バリキャリ講座」のようでもあり、それは半分は正しい。「なんと薄っぺら」なと思ったあなたも間違っていない。実際読了までかかる時間を考えれば、文字通り本書は薄い本である。

しかし、私はこういった「心理ハック」は否定しない。心のもちよう一つで今まで潜在せざるを得なかった能力が開花するのであれば、それは悪いことでは決してない。私自身、本書に載っているテクニックのいくつかは知らずに実践していたり、またいくつかは本書に言われる前にその存在を知って実践していたりもする。「人は見た目が9割」は伊達じゃない。

それでもなお、これだけは言っておきたい。

本書に書いてあることをそのまま実行する「デキる奴」に私が仕事を頼むかというと、まずそれはない、と。なぜなら、私が仕事を頼みたいのは「デキる奴」ではなく、「やりとげる奴」だからだ。本書に書いてあることを懸命に真似する暇があったら仕事片付けろと私は言う。

しかし、「やりとげる奴」を見抜く前には、まず大勢のなかから「できそうな奴」を見つけなければならない。その場において、「デキる奴」と「やりとげる奴」のどちらに目が先に行くかといったら、それは前者だというのもまた哀しい現実でもある。一旦関係が成立すれば、もはや「デキるように見せる」ことは不要だが、そこまで行くのが実は結構な仕事でもある。特に同業他社がひしめくレッドオーシャンな世界ではそうだろう。

そういうわけで、「やりとげる奴」も本書をバカにせず一読することをお勧めする。嘗めるように読んでも一時間はかからないだろう。ただし、本書をきちんと「噛まずに」鵜呑みにするのも、また単なるバカであるというのもお忘れなく。

Dan the Man @ Work