これ読んで少し無気力になったので;-)

heartbreaking. 「子供が産まれて感動した」「おめでとう!」…がどんだけの男女を無気力にさせているか少しは考えろ
本当に人の痛みの解る人間は、自分の幸せを語る前にまず、この幸せを得られない人が、自分のこの幸せを知った時どのように感じるか… と少しは考えてから言葉を発するんだよ。

これを書いたあなたが「傷ついた」のはこれ読んで分かった。そして「本当に人の痛みの解る人間」でないのもわかった。本当にそうだとしたら、とてもじゃないけどこういう台詞は言えないもの。

泣いているあなたの元に見知らぬ子供がやってきて、持っていたキャンディーをあなたに渡しました。「おねえちゃん、元気出して」。甘いものが大嫌いなあなたはその子供をほおをひっぱたいて怒鳴りました。「私は甘いもんが大嫌いなんだよ。おまえには人の味覚がわからないのか!」

おっと、間違えた。

見知らぬおねえちゃんが泣いているところへ、見知らぬ子供がやってきて、持っていたキャンディーを彼女に渡しました。「おねえちゃん、元気出して」。おねえちゃんが「ありがとう」といってそれを受け取っているところに、甘いものが大嫌いなあなたはその子供に駆け寄って、ほおをひっぱたいて怒鳴りました。「私は甘いもんが大嫌いなんだよ。おまえには人の味覚がわからないのか!」

あなたがやっていることは、そういうこと。

あなたは「人の痛み」がわかるふりをして、「人の痛みをやわらげよう」としている人を傷つけている。これがまだ「あなたの痛みをやわらげよう」としている人がやっていることが逆効果なので「ごめん、かえって痛くなった」というのであればまだあなたの痛みをもう少しわかろうという気にもなるのだけど、あなたでない誰かに宛てられた言葉を勝手に自分宛のものだと勘違いして憤る人の痛みまで、他人(ひと)はわかってあげなきゃいけない理由は私には思いつかない。

四段落でなく四文字で言ってしまえば、「被害妄想」。

と、ここまでは、私でなくても他の人々がそれぞれの言葉で書いている。

2007-11-07 - 捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!
お前みたいな、赤の他人様に「俺が不幸だから気を使え」とか偉そうに要求する甘えっ子チャンと一緒にされたくねえんだよ。
表現するという不幸 - 煩悩是道場
どんなに気を遣おうがどんな表現手法を用いようが「誰も傷つけない表現」など存在はしない。
あんたジャージでどこ行くの: 多分何を書いても誰かを傷つける
hashigotanという人は随分以前からこういう事を書いていて、僕はそれを認識してはいるが、しかし「hashigotanさんが傷つくから、嫁のことは書かないようにしよう」とは思わない。しかし嫁について書く時に「ああ、この記事をhashigotanさんは読むだろうか、そして読んで怒るのだろうか」とかは、たまに思う。

ここからは、あの記事をかいた「あなた」ではなく、本blogを読んでいる「あなたたち全員」が二人称。

ネット、特にblogにおいては、あなた以外の誰かに宛てられた三人称の言葉が、あなたに対する二人称と感じられる機会が多くないだろうか。ネットでは、他人事を自分事のように感じている人々の姿に事欠かない。この記事も含めて。

これって、TVの逆なんだよね。

スタジオで何か話すとき、TVから見るとスタジオの人物たちはあたかも「お茶の間」のあなたに向かって話しかけているように見える。ところがスタジオの中の人々からは、「お茶の間」のあなたは全く見えない。経験してみればわかるけど、それは実に不思議で不気味な光景。

それでなぜスタジオの中の人々が発狂しないかといえば、彼らが自分を他人化するすべを身につけているから。スタジオで話している自分は、「わたし」というより「わたしが演じている他人」。スタジオで長い時間を過ごしている人ほど、これが上手。私はついにその違和感に慣れることはなかったけど。

以上は発信側の事情なのだけど、受信側、つまり「お茶の間のあなた」も、TVに関しては「二人称の三人称化」を多かれ少なかれやっているはず。もしTVの主張をすべて「あなた宛」の言葉だと受け取っていたら、世界はすでに「万人の万人に対する闘争」になっていてもおかしくない(実はそうだという人もいるけどそこは華麗にスルーして)。実際にそうなっていないのは、わたしたちがすでにTVで流れているほとんどの「あなた宛」の言葉を、「他人宛」としてスルーしているから。TVとはさすがにつきあいが長いだけあって、見せる側も見る側もお互いにスルーする技術を成熟させてきた。だから安心して「三時の赤の他人」を「三時のあなた」と「詐称」できるわけだ。

余談だけど、「人の気持ちが本当にわかる人」は、きちんとTV局に「皇太子一家の娘の報道がどんだけの男女を無気力にさせているのか少しは考えろ」ってきちんと電凸してくれているのだろうか。

ネットは、まだそこまで行っていない。「TVからは3m以上離れて見やがってください」((c)みなみけ)というライフハック(笑)がまだ成立していない。TVと違って「言い返せる」こともあって、知らぬ間に近づきすぎれば、必要以上に傷つくし、そして「傷ついた」だけなのに「傷つけられた」と錯覚して、それに怒鳴り返すことで人を傷つけてしまう。

というわけで、ライフハック(笑)を一つ。「小飼弾」のところにあなたの名前を入れてblogのトップにはっておくと役立つかも。

このblogは、小飼弾
平凡な日常を淡々と描く物です。
過度な期待はしないでください。
あと、気持ちは明るくして、
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見やがって下さい。

Dan the Stranger of Yours