「ブログ限界論」、徹夜でへろへろだったのだけど、「おれんち」を晒してまで行ったかいがありました。
話題はいくつもあるのですが、話題ごとにentryを立てていくことにします。まずはこちら。
「ブログ限界論」で語られなかったこといろいろ - GIGAZINEつまらなくなったのではなく、スパムブログが増えて「濃度が薄くなった」、というのが正直な感想。
これは、実はどんな世界でも同じことで、データ量が増えればどうしてもS/N比は下がる。電子メールのS/N比がつまらないどころの話ではなくなったのはもう21世紀に入る前からそうだった。要はblogもそのフェーズに入ったということ。
しかし、それをもって「限界」というのは何とももったいない。本当はここからが面白いのだから。生物の世界だって、地球に生物が満ちあふれて、「地球の恵み」も「太陽の恵み」も別の誰かがすでに食っているという状況になってから、今度はその生物を食う生物が表れたりして多様化して面白くなった。私は、今のblogsphereがまさにそのフェーズにあることを実感している。
ここでブログのS/N比というものを考えてみる。現在日本にはおよそ1000万程度のblogがあると考えられる。そのうち普通の人が読むのはどれくらいかというと、少なくて10、多くて1000程度ではないだろうか。だいたい中を取ると、100程度だろうか。桁数程度の精度だと、よってblogのS/N比は一万分の一程度だと考えられる。文字通り、万に一つ、だ。
これはずいぶんと低い数字に見えるかもしれないが、私に言わせれば充分以上に高い。この程度で「ノイズばっかし」といったら、天文学者に笑われる。考えても見て欲しい。カミオカンデが捉えた1987Aからのニュートリノの数は、わずか11個。しかもこれの当初の目的は、超新星からのニュートリノを検出することではなく、容姿崩壊、失礼、陽子崩壊の証拠を捉えることだった。そして、陽子崩壊の証拠に関しては、今に至るも0。なんとカミオカンデ(スーパー含む)のS/N比は、その点においては0なのだ。
にも関わらず、カミオカンデは超新星からのニュートリノという別のシグナルを捉え、このシグナルが小柴先生にノーベル賞をもたらした。詳しいいきさつは「ニュートリノ天体物理学入門」を読んでいただくとして、ここからどんな示唆が得られるだろうか。
私が得た示唆は二つ。一つは「万に一つ」というのはまだまだS/N比としては高いということ、もう一つは「シグナル」の定義を絞りすぎると面白いものを見逃すということ。
「ブログがつまらない」と言っている人たちは、後者の示唆を見落としているのではないだろうか。自分にとっての「面白い」を綿密に定義して、それに引っかかるシグナルだけを見て、「近頃シグナルが少ないなあ」と嘆いてはいないか。
そういう時には、少しフィルターの設定を変えてみてはどうだろう。さすがに「万に一つ」ではノーフィルターというわけには行かないだろうが、「はてブつまんね」と思ったらMixClipsをぼーっと眺めてみるとか。
比較的おすすめの「フィルター精度の落とし方」は、いわゆるアルファブロガーたちが、何を読んでいるのかを覗き見してみること。アルファブロガーの書く者を読み飽きることはよくあるが、その一つ先を見るだけでも、自分が見落としているものがあることに結構気がつく。「Six degrees of separation」とはいうけれど、実のところ、「つまんない」と言っている人々は2nd Degreeまで追うことを忘れているだけのように思う。
「GIGAZINEつまんね」といっている人は、GIGAZINEがいかにこの2nd Degreeをきちんと追っているかということを忘れている。GIGAZINEがなぜAMNの参加ブログ全てを合わせたよりも多くのアクセスを誇っているかといえば、GIGAZINEが「2nd Degree Portal」になっていることを読者は知っているからだ。記事そのものが面白い必然性は、だから重要性としては2番目以降。中の人は、ちゃんとそのことをわかってる。
ブログがつまらないのではない。ブロガーのフィルターが目詰まりしているのだけなのだ。
Dan the Blogger
細胞に例えるならば、正常細胞では無く、癌細胞。
薄くなったのでは無く、健全な働きを阻害する破壊的行為の増加。