あたた。失敗してしまった。

何がって、今年08月20日発行の本書を、今ごろになって書評する羽目になったことが。

これは、失敗する可能性がある人であれば誰もが目を通すべき一冊である。

本書「失敗は予測できる」は、日本では畑村洋太郎によって一般に知られるようになった、失敗学の実践書。本書のすごいのはひたすら実践的なこと。エキスポランドの事故にはじまって、コンコルドの墜落、信楽高速鉄道とJR西日本の衝突事故と、失敗の実例が2,3ページおきに登場するのだ。これでも足りないという人は同著者の「失敗百選」をご覧頂くことになるが、3,780円の同書に対して、本書は735円。1/5の値段で同書のエッセンスを学ぶことができる。

目次 - 光文社発行の書籍より
まえがき
  1. 失敗は予測できる
    1. 安全の基準
    2. 失敗は似ている
    3. 失敗から連想する
    4. 失敗の原因
    5. 組織の失敗シナリオ
  2. 失敗は回避できる
    1. 失敗回避の落とし穴
    2. 打開策
    3. 失敗の事前対策
    4. 失敗後の後始末
    5. 二重事故を防ぐ
    6. 失敗のワクチン
  3. 失敗から逆転する
    1. 失敗から成功へ
    2. 成功にもしくみがある
    3. 設計の思考過程
    4. 思いを言葉にする
    5. エイヤーッの失敗
    6. 別の答えを見つける
あとがき

本書の素晴らしいのは、誰もが知っている失敗を、(失敗学者を除けば)誰も気がつかない視点から解明し、誰もが使える教訓を引き出していることだ。その中には、著者のささやかな失敗も含まれる。

p. 127
著者は息子の携帯電話に悩まされている。着信音楽やゲーム画面のパケット通信をいつも使っていると、通信料がすぐ二万円近くにもなる。息子が大学に入ってからは支払いは別々にしたが、案の定、通話料を支払いきれず家族割りになっていた筆者の携帯電話も突然、斬られてしまった。

ここまでは誰でも聞いたことがある失敗だが、ここからが著者の面目躍如である。

これも、第三構成要素がなかったケースといえる。

この「第三構成要素」とは一体何か?是非本書で確認していただきたい。

本書は失敗学の開祖の畑村洋太郎作品に実によく似ている。それもそのはず。著者は教授時代の畑村の下で助教授を勤めていたのだ。特に挿絵に関しては、「技術の伝え方」や「数に強くなる」でおなじみのマッチ棒人間が八面六臂の活躍を見せる。その一方で、師匠と弟子の違いも垣間見える。弟子である著者の方が、より実践的でより実例を多く取り上げている。どちらが初見のインパクトが強いかというと師匠だが、どちらが「失敗学力」を養えるかといえば弟子の方だろう。

著者の執筆現在における夢は、Failure Analystの会社を作ることだそうだが、夢とはいわず、今すぐとりかかってほしい。可能ならまじ出資したい。この投資は失敗しない自信があるが、仮に失敗しても、そこから得られるものは投資額を上回るのはあきらかで、これほどのフェイルセイフというのは滅多にないのだから。

Dan the Man to Err