前著に引き続き、今回もダイヤモンド社書籍編集部第三編集部加藤様より献本御礼。

早速結論。前著、「投資信託にだまされるな!」よりこちらの方がずっといい。

本書「投資信託にだまされるな!Q&A」は、現在までに18万部売れたベストセラー「投資信託にだまされるな」の続編。ではあるが、スターウォーズと同じくエピソードの順番と公開の順番が入れ替わっている。言うまでもなく、本書の方がEpisode I-IIIで前著がIV-VI。

目次 - 「本」の検索と購入より
  • はじめに
  • 第1章 投信の疑問にすべて答えます!
    • Q01 すでによくない投信を買ってしまいました。どうすればいいでしょうか?
    • Q02 結局、これから何を買えば儲かるのですか?
    • Q03 投信を買うときの基本的な方針を教えてください。
    • Q04 投信を買ったらお金が減ることもありますか?
    • Q05 株式投信と債券投信はどちらを買えばいいのでしょうか?
    • Q06 大手証券や大手銀行以外のところで投信を買っても大丈夫ですか?
    • Q07 なるべく短期間でたくさん増やしたいのですが、可能でしょうか?
    • Q08 初心者なので窓口にいる人に相談したいのですが……。
    • Q09 投信の手数料について教えてください。
    • Q10 投信の手数料では何を重視したらいいのですか?
    • Q11 運用成績のいい投信なら手数料が高くてもいいのではありませんか?
    • Q12 いつ投信を買ったらいいのですか?
    • Q13 投資信託の売りどきはいつですか?
    • Q14 投信の基準価額って何ですか?
    • Q15 投信を買いましたが、儲かっているのか、損しているのかわかりません。
    • Q16 投信に興味はあるのですが、とにかくお金が減るのが怖いです。
    • Q17 そうはいっても、毎月分配金に魅力を感じてしまいます・・・。
    • Q18 外債投信にはどんなリスクがありますか?
    • Q19 まとまったお金がないので、投資ができません。
    • Q20 まとまったお金があるので、一括で購入してしまいたいのですが。
    • Q21 そろそろ定年ですが、これから運用を始めて間に合いますか?
    • Q22 中国やインド、ベトナムなど、新興国の株式に投資したいのですが・・・。
    • Q23 ネットで投信を買うのには抵抗があるのですが・・・。
    • Q24 今持っている投信をほかの証券会社や銀行に移すことができますか?
    • Q25 確定拠出年金は利用したほうがいいですか?
    • Q26 海外の株式や債券投信に「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」とありますが、どちらを選べばいいですか?
    • Q27 REIT(不動産投信)ファンドに関心があるのですが・・・。
    • Q28 個人年金保険に加入を検討しているのですが……。
    • Q29 金や原油のような商品投資にも興味があるのですが…。
    • Q30 投信を買いましたが、そのまま放っておいて大丈夫ですか?
    • Q31 FX(外国為替証拠金取引)に興味があるのですが・・・。
    • Q32 投信はどうやって選べばいいのですか?
    • Q33 相場が急落した時に投信を買うのは不安なのですが・・・。
  • 第2章 年齢・金額別の投信活用術
    • (A) 低コストなグローバルバランス型の投信を買う
    • (B) 複数のインデックスファンドを自分で組み合わせる
    • (C) 海外ETF(海外指数連動上場投資信託)を買う
  • 第3章 投信情報はこう使う!
    • (1) 購入前に何をどうみるか
    • (2) コストはどう調べればいいか?
    • (3) 分配金の実績はどこで調べればいいか?
    • (4) 保有中は運用レポートと運用報告書でチェックする
  • おわりに
  • 本書に登場する販売会社の連絡先一覧

本書が前著より優れている点その一。いきなり読者が一番知りたいことから入っていること。読者が本当に知りたいのは、投資信託という一般名詞にだまされない方法では実はなく、今自分が買おうとしている、あるいは買ってしまった投資信託にだまされていないか、そしてもしだまされていたのだとしたらどうしたらよいかということなのである。

そもそもこういう本を金を出して買おうという人に、投資信託という言葉も聞いたことがない、という人はありえない。金を出すということ自体、少なくとも買うかどうか迷う程度の知識を有していることの証である。ましてや現代は本しか情報源がない時代ではなく、無料情報をいくらでも集められる時代である。いきなりQ&Aの方が実は読者には優しいのである。

本書が前著より優れている点その二。その結果として本書のオリジナリティが増している。前著の書評でも指摘したことだが、前著はどうしても「金融広告を読め」の簡約版の域を脱していないが、本書は完全に別物で、使い勝手はさらに増している。

そして本書が前著より優れている点その三。本書の方がポジティブであること。前著は「だまされるな」のタイトルに引きずられて、どうしても「あれはだめこれはだめ」という口調が目立っていたが、本書ではきちんと一章割いて具体的に投資信託を組み入れた資産運用例を示している。もちろん前著の章立ても後半は「ではどうしたらいいか」をきちんと書いてはいたのだが、タイトルの呪縛はどうしてもそこに見え隠れしていた。前著の成功もあってか、本著の方が著者はのびのび書いている。

今、投資信託本を買うのであれば、間違いなく本書が第一選択だ。

それでもやはり嘆かずにはいられない。「まとも」に投資信託を吟味すると、やはり出てくるのはつまらない結論にしかならないのか、と。アクティブファンドを買う余地はもうないのか、と。

退屈さは確かに投資信託の欠点であるより美点でもある。退屈がいやなら投資信託ではなくその投資対象に直接投資すればいいのだから。しかし、「もの言う株主」ならぬ「もの言う投資信託」、それも年金運用のような大口ではなく、「群衆の叡智」をファンド運営に反映させるようなものがあってもいいように思うのだが。

もっとも、その一番の理由はなんといってもコスト。これさえクリアーされれば、アクティブファンドももっとアクティブになりうる。一つ考えるのは、ファンドマネージャーが投資対象を選ぶのでなく、購入者が元本への投資比率まで調節するような「セルフアクティブファンド」。これはネットを使えば可能だし、ファンドマネージャーに給料を出さなくてもいい分コストも抑えられるはず。だれか開発しないかなあ....

Dan the Investor