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DISは基本的にスルーする私だが、これはあまりにひどすぎて看過できない。

佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン:小飼弾氏が赤木智弘氏を嗤える本当の理由

では、なぜ小飼弾さんは搾取されないのだろうか? 理由は一つ、弾さんはこの日本国内で最強の既得権益者の一人だからだ。

ウィキペディアの説明によると、弾さんは歌代和正氏開発の、Perlで記述された日本語符号による文字列の相互変換するライブラリjcode.plの派生品開発者だ。

詳しいことは、ど素人なので分からんけれど、要するに「日本語」という最大最強の非関税障壁に守られた既得権益者の1人なのだ。

まず、私はJcode.pmのメンテナーであると同時に、Encodeのメンテナーでもある。もちろん小飼弾 - Wikipediaにも書いてある。

Encodeは、Jcode.pmと違って、日本語だけを扱うのではなく、ありとあらゆる文字コードを扱う。ヨーロッパの諸言語(ISO-8859)はもちろん、中国語(簡体字および繁体字)やハングルも扱う。これは Perl 5.8以降は標準搭載されている。

なぜこのモジュールが標準搭載されているか?非関税障壁を撤廃するためだ。それ以前、PerlではASCII文字以外はきちんと正規表現が使えないなど、非英語圏、特に多バイト文字コード圏では明らかな非関税障壁があった。しかしこの非関税障壁は、Perlというよりも各国にある文字コードが課していた側面が大きい。そのコストを最小限にするのが、Encodeが標準搭載されている一番の理由である。

それを言うに事欠いて非関税障壁とは。自称佐藤秀よ、貴様は一体何様なのだ?

もう一つ付け加えておく。Jcode.pmもそうだが、Encodeは、私に金銭的な利益を一切もたらしていない。それどころか、有形無形の形で私はそのために多大な投資をしてきた。開発に従事していた2002年の私の所得は100万円を切っている。そのための遺失利益だけで、3000万を下回ることはないだろう。

もちろん、私がそうしたのは、それをやりたいという意思があり、それを可能にするだけの蓄えが充分あったからだし、その蓄えを得る過程において、非関税障壁が果たした役割もある程度はあったのかも知れない。そちらに対する批判や非難は今までも甘んじて受けて来たし、これからもそういうしていくつもりだ。

プログラマーとしての技量もしかり。批判も非難も歓迎する。たとえそれが的外れだって私は怒ったりしない。私よりプログラマーとしての能力に長けたものはいくらでもいる。インドにだっている。「いてもおかしくない」のではなく、具体的に個人名を上げることだってできる。しかし、そのインドにはEncodeの開発を手伝ってくれたものは一人もいない。中国にもいなかった。Encodeの中国語周りの検証と開発で一番手伝ってくれたのは、台湾人だった Audrey Tang である。おかげで Encode のインド諸語のサポートは貧弱で、これは Encode にとって小さからぬ todo なのだが、私に出来ない以上、協力者を待つ以上のことは出来ていない。

しかし、オープンプログラマーが一銭も要求せず、それどころか金も手間も許す限りかけてきたものに対して非関税障壁呼ばわりするのは、個人としての私は許せても、オープンソースプログラマーとしての私は許さない。Encodeに限った話ではない。TCP/IPからFirefoxに至るまで、今のネットをそうたらしめている全てのものに対してだ。批判もいい。非難もいい。しかし侮辱することは許さない。

Dan Kogai / 小飼 弾