講談社ビジネス編集部広部様より「朝11時までメールは読むな!」と一緒に献本いただいたのがこちら。改めて御礼。

未書評だったが、

東大生による就職活動論 - ignorant of the world -散在思考-
2つの簡単な質問。
  • Q1.なぜ「あなたは」この会社に入りたいのか?
  • Q2.なぜ会社は「あなたを」採用する必要があるのか?

が人気を博していることもあってタイムリーなので今書評しておくことにする。

良薬であるがゆえに口に苦い一冊だ。

本書「就活の法則」は、主に採用する側から見た就職活動の法則を一冊にまとめたもの。

目次 - 講談社Bizは目次ぐらいWebにあげろ!
  • はじめに:就活を成功させるためにまず知っておくべきこと
  • 就活の法則
    1. 「タテ軸指向」から脱却する
    2. 「相対エリート」のポジションを狙う
    3. 現在の企業人気ランキングは逆に読む
    4. 「ランキングより業種」「業種より職種」で選ぶ
    5. HPもOBも本当のことは語らない
    6. 受けるのは5社で十分
    7. 「当たり前のこと」は言わない
    8. 人の評価は、10人中8人は同じである
    9. 「入社後の就活」はハードワーキングである
    10. 入社後5年は転職しない
  • おわりに:就活学生へ、もう一つのメッセージ
  • コラム
    • 再びバブル社員?
    • 学歴ロンダリングの有効性
    • 企業が謳う「女性重視路線」の実態
    • 外資系企業の光と影
    • 日本人大学生のレベル
  • 本書を今読んだ、今年度卒業見込みの学生はこう思うかも知れない。「今からじゃ間に合わない」

    その通り、である。

    冷たい言い方かも知れないが、あと3ヶ月弱程度のメッキで面接官の目をごまかせるほど面接官も企業も甘くない、ということである。

    就活オワタ\(^o^)/? そうかも知れない。いや、その方がいい。

    なぜなら、間違って身の丈以上の企業に就職、いや就社してしまう方が、より大きな悲劇なのだから。本書が良著である理由は、それをきちんと説いているからだ。

    そもそも、本当に優秀、というより企業にとって必要な人材は、今や就活、企業から見れば新卒採用などしない。このあたりの事情は「プロ・ヘッドハンターが教えるデキる人の引き抜き方」を読めばわかる。新卒採用した人材を社内で育てて戦力(著者の言うところのエリート)にする時代は、日本でも前世紀に終っている。

    実際、海外では新卒採用というコンセプトそのものがないところの方が多い。それどころか「卒業したての大学生のみを募集対象」とすることが法律で禁じられていたりする。通年採用こそ「グローバル・スタンダード」で、日本ももはやそうなったと言っていいのではないか。

    というより、私ならそもそも新卒採用なる滑稽な風習を持っている会社というだけで、ランクを下げる。この風習を持った会社は今でも少なくない。そしてそれは日本の競争力に明らかなマイナスだと感じている。

    しかし、新卒採用だろうが中途採用だろうが、願書を送ろうがヘッドハントされようが、職を得るということには変わらない。そして、本書の内容には、新卒の「就活」だけではなく、一般名詞としての就職活動には、被雇用者にとってどういう意味があるのか、そして雇用者にとってどういう意味があるのかという、労使双方に通じる普遍性がある。

    細かい点では異論はある。しかし大筋において、採用担当でもあった私は本書の内容に禿同せざるを得ない。特にコラムの「再びバブル社員?」と「学歴ロンダリングの有効性」は、「就活」者必読である。

    新卒よりもむしろ転職を考えている人、そして働き手を採用しなければならない人事担当者こそ一読すべき一冊だ。

    Dan the Self-Employer