偶然観たのだけど、これが素晴らしい出来だった。

巻頭関東甲信越ローカルなのだけど、全国で放映して欲しかったなあ。

番組の詳しい内容は上のリンク先を見てもらうことにして、印象に残ったのが「江戸しぐさ」。

江戸しぐさ - Wikipedia
江戸しぐさ(えどしぐさ)は日本における江戸期の商人の生活哲学・商人道。しぐさは仕草ではなく思草と表記する。

びっくりしたのは、番組中で出て来たしぐさ(Wikipediaにあるとおり)を、私の場合すでに全部やっていたこと。それも誰彼に教わったというのではなく。強いて言えば、社会に教えられたのだろう。

それで、一つ気になったのが、「うかつあやまり」。これはどういうことかというと、相手に120%非がある時にも詫びを入れるというもの。「いえいえこちらこそ」というのは今でも日常会話でよく聞くものなのだけど、ふと「社会の切れやす化」の原因の一つとして、うかつあやまりの期待効用の変化--具体的には低下もあるのではないかと思い立った。

うかつあやまりがうまく機能するためには、相手もあやまらなければならない。「うかつあやまり」側が1としたら、相手はどう見ても9。ところが、最近は「詫びる」という行為がそのまま「非を認める」と認識される確率が高くなって来た。たとえば交通事故の際「『ごめんなさい』と言うべからず」という具合に。あくまでもうかつあやまりは「こちらはあなたを敵にするつもりはありませんよ」という意思表示であり、本来の、非がある側の「あやまり」に対する返事としてなされるものだ。それだけに、詫びのコストが大きすぎると、なかなか使いづらい。まだ相手があやまっていない段階で「いえいえこちらこそ」とやってしまっては、「やっぱ悪いのはお前だ」ということになりかねないのだから。

番組では、さまざまな角度から「キレる」という行動を分析した上で、「キレない」ための提案をいくつか出していたが、行動経済学的な分析がなかったのがちょっと残念だった。それでも最後に室井祐月と中尾彬がキレるの肯定的な側面を指摘したのはよかった。「怒らせるとコワい奴」と思われるのは、いらぬ嫌がらせを防ぐ効果がかなりあるのだ。このあたりのことを、もう少し定量的につっこんだ論文や本はないのだろうか。あったら本entryまでたれ込みを。

Dan the Provok(ed|ing)