出版社経由にて著者ご本人より献本御礼。

なるほど、この手があったか。

すでに「成功本50冊「勝ち抜け」案内:[俺100]」のように紹介されているのだが、後だし書評は私の得意技でもあるので遠慮なく行く事にする。

本書〈成功本50冊「勝ち抜け」案内〉は、一言で言うと「メタ成功本」。例えば本がデータとすると書評はメタデータに当たるのだが、これを50冊の成功本に対して適用して、さらにそれらをまとめて分析したのが本書である。

目次 - やすのぼやき | 読書日記 『成功本50冊「勝ち抜け」案内 How to Improve Your Reading Skills for Success in Life (Kobunsha Paperbacks Business』より加筆訂正
はじめに
part1 成功本で本当に成功したある人物の物語
part2 成功本50冊「勝ち抜け」案内
  1. 成功入門、基本の「き」
    1. 金持ち父さん、貧乏父さん
    2. ユダヤ人大富豪の教え
    3. 経済ってそういうことだったのか会議
    4. 人を動かす
    5. 細野真宏の世界一わかりやすい株の本
    6. 年収300万円時代を生き抜く経済学
    7. 借りたカネは返すな!
    8. ザ・プロフィット
    9. ビジョナリー・ピープル
    10. 思考は現実化する
  2. 自己啓発本の深淵
    1. 「心のブレーキ」の外し方
    2. 夢をかなえるゾウ
    3. 非常識な成功法則
    4. 夢をかなえる「そうじ力」
    5. 愛されてお金持ちになる魔法のカラダ
    6. 年収10倍アップの勉強法
    7. 世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本
    8. 7つの習慣
    9. 一瞬で自分を変える法
    10. 君に成功を贈る
  3. 経営者本の真髄
    1. 千円札は拾うな。
    2. 渋谷ではたらく社長の告白
    3. 一冊の手帳で夢は必ずかなう
    4. きみはなぜ働くのか。
    5. 成功のコンセプト
    6. 史上最短で、東証二部に上場する方法
    7. どん底からの成功法則
    8. リクルートのDNA
    9. 「プロ経営者」の条件
    10. 稼ぐが勝ち
  4. ストレート投資本
    1. 平凡な大学生のボクがネット株で3億円稼いだ秘術教えます!
    2. 「株」で3000万円儲けた私の方法
    3. 冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行
    4. 億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術
    5. 株で1億円作る!
    6. 投資戦略の発想法
    7. お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
  5. 独立志向系戦術本
    1. 凡人の逆襲
    2. 小さな会社★儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略
    3. なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
    4. 図解 「非常識に儲ける人」の1億円ノート
    5. 会社にお金が残らない本当の理由
    6. 週末起業
    7. 働かないで年収5160万円稼ぐ方法
  6. 知識の底上げ本
    1. 図解 「儲け」のカラクリ
    2. 日本のお金持ち研究
    3. 成功学キャラ教授
    4. いつまでもデブだと思うなよ
    5. ザ・シークレット
    6. 宇宙が味方する経営
Part3 成功本を無駄に読まないための成功法則ベスト10
おわりに
巻末付録
目標別!成功本マトリックス図
ビジネス書ベストセラー1997-2007

メタデータというのは、「安く」見られがちである。これは「元本」あっての「デリバティブ」である「メタ」の宿命でもあるのだが、メタの価値がどれほど高いのかというのは、Googleを見ればわかる。Googleの価値は情報ではない。メタ情報なのだ。

「メタ」の特徴は、それに重ねて「メタ」れることである。例えば本entryは、「メタ成功本」のメタデータなわけだから「メタメタ」なわけだが、メタというのは重ねれば重ねるほど情報が散逸し何がなんだかわからなくなる傾向がある。上の目次がAmazonへのリンクになっているのは、私のアサマシさも理由の一つであるが、源流の情報へのリンクを張る事で情報の「メタメタ」化を防ぎたいという理由がより大きい。正直言ってしまえば、他の本に関しても参考文献はすべてリンク化したいぐらいなのだ。目次を入力してくれたblog「やすのぼやき」の中の人に感謝を。

本書は、確かに「成功本」のカタログとしても機能している。50冊の成功本は、すべて

  • 基本データ
  • 著者プロフィール
  • 本書のナナメよみ
  • 本書の勝ち抜け案内
  • こんな誤読をしてはいないか!

というフォーマットでカタログ化されている。一冊につき2ページ。これが実に秀逸で、そのまま書評entryとしてblogに上がっていてもおかしくない。著者が書評blogをはじめたら、本blogもうかうかしていられないとマヂ思ったのだが、なぜか著者はblogをお持ちでないようだ。

しかし、メタ情報の本当の価値は、それらを組み合わせて分析にかけてからはっきりする。その威力は、これまたGoogleを見ればわかるだろう。本書は具体的にそれをどうやるのかをPart 3で披露していて、本書が一番「おいしい」のはこの部分だったりする。特に「成功本マトリックス」は、そのままWebに掲載したい、というか本blogでも是非取り上げたい....のだが、今のところコスト割れでやっていない。これはいつか仕組みをつくって対処したい。

このマトリックスを見ても、上の目次を見てもおわかりの通り、本書に収録されている「成功本」はかなり多彩で、「成功 = 財産形成」という単純な定義を著者が取っていないことがここから伺える。実のところ、「成功」というのは定義次第でどうにでもなり、そして成功をその場その場でどう定義するのかが、「満足の行く」成功の鍵を握っている。そう。成功にもまた「メタ成功」があり、本書は「メタ」成功本であると同時に「メタ成功」本でもあるのだ。

本書は「成功したい」人はもちろんのこと、メタ情報をどう扱うのかを知る上における格好の実践例である。ボトムラインとしてblogで書評を書く人は必携である。

それだけに、著者がblogを持っていないというのは謎である。メタ価値を価値化するのにこれほどよいツールはないのに。もっともそれは著者の趣向の問題でもあるので、その部分は私が遠慮なくメタタカリさせていただくことにします。

Dan the Metawriter