今日の午前中ぎりぎりに届いたのだけど、この私が読むのに30分もかかってしまった。
ケータイエッセイはあなどれない。
これだけ少ない言葉で、これだけ豊かに語れるのだから。
本書「学校がアホらしいキミへ」は、プロのノンフィクションライターにして三人の子を育て上げた父、日垣隆が、文字通り「学校がアホらしいキミ」、すなわち学校生活をつまらなく感じる学生たちにガチで語った一冊。であるが、「学校」を「職場」や「家庭」や「人生」に置き換えても成り立つだけの汎用性が本書にはある。
目次 - 「ガッキイファイター」2008年1月18日号より追補
|
|
ページ数は100あまり。著者の単行本としては最も短い一冊のはずであり、一ページあたりの文字数もこれまた最小であること相まって、著者の作品としては最も言葉数の少ない一冊であるはずである。
なのに何なのだ、この一言一言の重さは。
いくつか引用してみる。
P. 11P. 65「でもしか」時代には、プロ(絵描き、小説家、スポーツ選手、歴史学者、科学者など)になりきれなかった落ちこぼれが、学校の先生になった。そういう屈折した暇な人たちが、子どもにとって、おもしろくないわけがない。最初から優秀なレッスンプロを目標にしてきた人は、未知の世界に挑戦する習慣がないので、本質的につまらないのである。
だからキミたち自身が、おもしろい人間になろう。
日本には、世界中ではありふれた、子どもの物乞いがいない。俺は日本人として、それを何より誇りに思う。しかし、この越えがたい一線も大人の個人的な怠惰で、いつでも決壊しうる。そのことをいつも忘れないようにしよう。P. 71
現実は、ペーパー試験より、ある意味で複雑なだけなのである。
本書の1/3は「ビッグコミックスピリッツ」の連載「それでいいの!?本当に」で、残りが大和書房の携帯サイトに連載していた「学校がアホらしいキミへ」が元となっている。要するに、本書は普段活字を読まない(「本を読まない」というと、漫画が外れてしまうのでこう書く)少年少女向けに書かれた文章を集めたものである。こういう、「普段それを買わない人に買ってもらう」ように知恵と言葉を絞って作られた本には傑作が多い。代表的なのが「高校生のための三部作」だろう。
P. 77商取引(あきない)の基本中の基本は、「俺が値段を決める」なのである。
そんな著者の面目躍如である。
いつかこういう文章を書けるようになりたい。
Dan the Encouraged
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。