「はじめての課長の教科書」が売れている。Amazonで現在6位。

NED-WLT : Amazonにて、拙著の販売が開始されました。
Amazonにて、拙著『はじめての課長の教科書』の販売が開始されました。ご予約いただいていた方のところへは、早ければ2月13日(水)には届くと思われます。書店での販売は、予定どおり2月14日(木)ごろからとなります。

特設サイトも出来たようだ。

予約注文分が発送されたをこちらでも確認。本blogから買っていただいた方に改めてお礼を。

しかし、本書をお買いになった方の大多数は、オフィシャルな課長ではないはずだ。多くは、まだ部下を持った事がない方だと思われる。

そんなあなたのためのentryがこれである。

まずはさておき、まだ入手しただけで読み終わっていない方は、56ページを開いていただきたい。

PP. 56-58

例外への柔軟な対処能力が権威を正当化する

さて、こうしたピラミッド型組織においてそれぞれの役職の権威を正当化しているものはリーダーシップや戦略策定の能力ばかりではありません。

本質的には、「ルーティン・ワークから外れるような例外的な業務に対応できる柔軟性が役職の権威を正当化するものなのです。

経営の神様とも呼ばれるピーター・ドラッカーは、かつて「経営管理の九十六%は、ルーティン的な定例反復業務である」と喝破し、ルーティン・ワークを格下の退屈な仕事であるかのうように考えることは間違いであると警告しました。

課長の仕事がある意味最も難しく、それだけに最も面白いものとなりうる理由がここにある。

ところが、今や例外処理は課長のみの仕事ではなくなってきた。それこそが課長でもないあなたが、「はじめての課長の教科書」を読むべき根本的な理由なのだ。

ではなぜ課長以外が課長の機能を期待されるようになってきたか。その理由を3つに分けて説明する。

1.平社員業務の非正規化

それがいいのか悪いのかはさておき、派遣社員やパートタイマーといったいわゆる非正規雇用者の存在が職場において普通になって久しい。今やこうした社員がいない職場の方が珍しいのではないか。

この傾向は、今後さらに進むと思われる。しかしどれほどその傾向が進んでも、課長まで非正規化されることはありえない。理由はまさに、課長に例外処理の権限があるからだ。何が例外でなにがルーティンかは、その職場に長くいないとわからないものだし、またかつては例外だったものも、課長がきちんと仕事をしていればルーティン化されていくはずだ。ゆえに、基本的に課長というのは正規雇用者でなければならない。

課長以外は全部派遣社員。そんな時代が来ても私は驚かない。

2.平社員業務の外部化

さらにそれに追い打ちをかけるのが、ノンコア事業の外部化。これは小はお茶汲みから大は部門丸ごとの売却まで、日本、いや世界の至る所で進行している。

かつてOLにお茶汲みをさせるのが日本のオフィスの風物詩だった時代もあった。今そんな悠長な会社がどれほどあるのか。今や客が来たら、役員ですら自分でコーヒーをいれるのが趨勢なのではないか。

今や足りない文房具を買いにいく程度の「おつかい」すら、Askulにまかせる時代だ。それも大企業ではなく、課長すらいない小さな企業ですら。

もしあなたの仕事が、他の企業においてもそのまま適用できる、「OL進化論」のOLたちのような仕事であるとしたら(じゅんちゃん達の会社の業務って何だ?)、明日にでも外部業者に取って代わられる。日常がなくなるのが日常化しているのだ。

3.平社員業務の自動化 - ロボ社員の登場

以上の二つは、本書にも指摘があったが、以下は私のオリジナルである。

たとえば、あなたがコールセンター担当だとする。通常の通販であれば、この場合のコールセンター業務というのは「注文を受け付ける」というルーティン・ワークである。

ところが、今やこの部分というのは自動化が急速に進んでいる。Amazonで商品を注文しても、受付処理をするのは「中の人」ではなくサーバーである。今やルーティン・ワークというのは「ロボット」の仕事になりつつあるのだ。

するとコールセンターに勤めるあなたの立場はどうなるか。

まさに「課長」となるのである。

この場合、すでに顧客がコールセンターに電話をかけるという時点で例外なのである。あなたはそれを処理しなければならない。そして可能であれば、その例外をルーティン化しなければならない。同じ苦情が三つ続いたら、それはルーティンとしてシステムの方で対策するべきなのだ。

ルーティンを処理するシステムを作る。余談であるが、プログラマーというのは、実は本書の定義上はすべて「課長」に相当すると言ってよい。

課長でなければ社員にあらず。

好む好まざるとに関わらず、そんな時代がやってきている。

Dan the Kacho at Large