以下の
404 Blog Not Found:暗号ではなく行間 - 書評 - 決算書の暗号を読めつーか、複式簿記ぐらい義務教育で教えるべきだよね。
を読んだ著者より
Mailより当方、「複式簿記を義務教育で教える」本を昨年末に出版しております。
というわけで献本御礼。
ああ、「404 Blog Not Found:2008年のお年玉で買うべき本10冊」を書く前に知っていれば!
本書「国語算数理科しごと」は、SEを経て公認会計士となった岩谷誠治が、小学校5年生の娘に、会計士ではなく、会計システム開発担当となって会計を1ヶ月勉強したSEが、娘の社会科の宿題である「親の仕事」に関して答えるという設定で書いた一冊。
目次 - 国語 算数 理科 しごと|日本経済新聞出版社より- プロローグ
- 第I章 月曜日 お父さんの仕事は何か
- 今週の宿題
- そもそも仕事って何?
- 仕事の定義
- 第II章 火曜日 商売をはじめてみよう
- 花を売ってみる
- 書いてみよう
- 約束はどこにあるのか
- 第III章 水曜日 「儲け」とは何か
- 簿記を身につける
- 儲けとは
- どうして「利益」が必要なのか
- 第IV章 木曜日 約束を守るために
- 約束を守る難しさ
- 2つの方法
- 2つの考え方
- 第V章 金曜日 仕事の種類は無限大
- ケーキ屋さんになれるかな
- 約束のもうひとつの意味
- 何を学んでいくのか
- 第VI章 土曜日 妻との会話〜お父さんの宿題〜
- 個人と組織
- 仕事の分類
- 仕事って何か
- あとがき
目頭が熱くなるほど感動したのが、以下の一言。
P. 23
- 父
- 「それで、お父さんなりの仕事の定義を考えてみたんだ。」
- 娘
- 「どんな定義なの。」
- 父
- 「仕事とは、「約束を守ること」だと思っているんだ。」
刺さった。
この表現を自分で見つけられなかった事を恥じる。
たしかにこれであれば、家事などの無報酬の仕事も包括的に説明できる。粗にして漏らさない、なんと恢々な表現だろうか。
そして、この約束を表現、すなわち目に見える形にしたものが、会計。
本書は、こうした粗にして漏らさない表現で、最初から最後まで貫かれている。本書はわずか150ページ、文字も小さくなくイラストも多い、にもかかわらず、400ページぐらいの本を読んだぐらいの読み応えがあった。この表現の密度は、すごい。
火曜日にはもうB/S、水曜日にはB/SとP/Lがどうつながっているのかの解説....娘への講義は、わずか5日なのだが、これで会計の基本がきちんと収まっている。そして土曜日には、妻と娘への講義を振り返りつつ、「しごと」というものの意味を再確認する。
岩井千鶴子のイラストがまたすばらしく、濃密でありながらのどごしスッキリ。この品質なら、小学校の教科書としても大人の参考書としても使って問題ない。
添え状より本書は子供向けというよりも、狭い職業観に囚われ、自らの仕事に自信をもちかねているビジネスパーソンにこそ、読んでいただきたいと思います。
本書を読むのに年代や経歴は問わない。学生は本書から知識を、新社会人は本書から知恵を、そしてベテランは本書から表現をそれぞれ学ぶ事ができる。本書から得る者がなにもない、という人は、著者本人か神かどちらかだろう。
仕事、約束、会計。この三位一体を一冊で学べる本書は、まさに「国語算数理科社会」の「社会」をおきかえる教科書となりうる。本書の内容を、小学校で教えて欲しい。中途半端に英語を教えるよりはずっと簡単で、そして得るものは大きいのだから。
Dan the Amateur Bookkeeper
「約束」のくだり、初っ端に出てくるんですね。
今の自分を振り返り、
何が「しごと」になっていて
何が「しごと」になっていなかったか
気付かされました。
著者の表現に脱帽です。
小学校で、こどもたちだけでなく、
それを読ませることになる先生方にも
読んでもらいたいですね。