本書を見てよだれが。

これに乗るためだけに旅行してみてもいいという気分にさせられる一冊だった。

本書「エアバスA380まるごと解説」は、747を抜いて世界最大の旅客機となった、エアバスA380だけで一冊という本。単に「世界最大の飛行機」としての特徴もさることながら、半分以上が「旅客機」、すなわち客を乗せて飛ぶ乗り物としてのレポートになっているところに本書の特徴がある。

目次 - Si新書『エアバスA380まるごと解説 ジャンボジェットを超えるオール2階建て巨人機の開発から就航まで』概要 (サイエンス・アイ新書Web)より抜粋
第1章 就航 王者は音もなく舞い上がった 〜07.10.25、A380世界初就航便密着ドキュメント
第2章 開発 構想から完成までの全歩み 〜オール2階建てA380はこうして誕生した〜
第3章 技術 巨体を構成する先進テクノロジー 〜A380には随所に最新の思想が詰め込まれている〜
第4章 キャビン ベールを脱いだシンガポール航空A380 〜超ゴージャスな三つのクラスを完全レポート〜
第5章 舞台裏 “Xデー”を陰で支えたスタッフたち 〜初就航に向けたシンガポール航空社員たちの挑戦〜
第6章 可能性 A380が実現する“空の旅”の新しいカタチ 〜人々の旅への思いを根底から変えてしまう潜在パワー〜
第7章 飛来 日本就航も視野に。その実現時期は? 〜A380をデビューさせる世界のエアライン〜
 ●シンガポール航空

同機の納期の遅れのおかげで会社が危機に立たされたエアバスだが、いざ就航してみると、A380はその懸念を吹き飛ばす出来のようだ。本書の写真を担当した航空写真家、小栗義幸はこう述べている

P. 28
離陸後、上昇飛行中も耳と全身の感覚を集中していましたが、ギアアップ(タイヤの収納)の音も振動もついに感じることはありませんでした。
「こんな飛行機、はじめてですね」
フライトの回数ではおそらく私より多いと思われる小栗氏が驚きを隠せない様子です。

「ギアアップが聞こえない?ウソー」というのが正直な感想なのだが、もしこれが本当なら

P. 40
A380でのフライトを一度でも味わってしまうと、もう他の飛行機に乗る気がしません。

というのも当然に聞こえる。

本書の第一章は、デビュー便に著者が実際に登場して書いたレポートになっているのだけど、747の1.5倍の延べ床面積に、「スイート」クラス12、ビジネスクラス60、そしてエコノミークラス399の合計「わずか」471席のシンガポール航空380便は、まさに「空飛ぶおもてなし」。エコノミーは既存のビジネスクラスなみ、ビジネスは既存のファーストクラス並みというのが写真からも伝わってくる。

そのA380の日本就航は、今年の5月になる模様。おそらく成田-シンガポール便がそれに当たるのだろう。他にも今年から来年にかけて、エール・フランスやルフトハンザが徐々にA380を投入してくるとのこと。今から楽しみだ。こういうのは長距離便ほどいいので、シンガポールだとちょっと近すぎのような気もするが。

残念ながら、今のところJALもANAもA380を買う予定はないとのことだけど、欧州便とかで競争力が保てるのだろうか。人ごとながらちょっと心配だ。747の100億円増しなのだけど、それだけの価値は確かにありそうだ。

Dan the Frequent Flyer

追記:ところで、A380って他の大型旅客機と比べて(他のエアバス製品と比べても)、垂直尾翼がやたら大きいように見えるのですが、これってなぜでしょう?おかげで全体のプロポーションを見るとかえって小さく見えるような気すらします。