著者より献本御礼。

良本。「課長の教科書」が描く課長と平社員とのギャップを、ちょうど補完してくれる一冊。

本書「生き残る上司」は、ネクストサービス社長の著者が説いた上司の心得。「上司がどうあるべきか」という点に関しては「はじめての課長の教科書」に一歩及ばずだが、その代わり本書は「上司が具体的に何をするべきか」の具体例が豊富な分「使い」やすい。

目次 - KK ベストセラーズ || 本の詳細より
第1章 能力主義時代のサバイバル上司術
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道1
部下の話、しっかり聞いていますか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道2
あなたは部下に「言いにくいこと」が言えますか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道3
部下とつまらない議論はしていませんか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道4
あなたの「部下のため」は本心か?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道5
あなたは部下から応援される人間ですか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道6
部下を信頼できますか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道7
「若い=能力がない」と勘違いしていませんか?
勘違い上司に学ぶグレイト上司への道8
あなたには透明性がありますか?
★あなたの[勘違い上司度]をチェック!
第2章 生き残り上司への意識改革
それは上司の仕事ですか?
自分が変わらなければ部下は変わらない
自分の誤りは素直に認めて謝る
部下の前では上司を演じる
上司は監督、部下がプレーヤーという考え方
小規模チームの上司はプレイングマネージャー
できる上司はあきらめが悪い
去る部下は追わない
当事者意識を持つ、持たせる
「頑張ろう!」はいらない
自分より優秀な部下を自慢する
上司の究極の仕事は「自分の仕事」をなくすこと
第3章 部下をやる気にさせる基本ルール
顧客満足度と部下の満足度、どちらが大切か?
小さな成功体験を作らせる・思い出させる
部下の花道を奪わない
なぜその仕事が必要なのか説明責任がある
部下の長所を探し、喜ぶポイントを見つける
いくら叱っても引きずってはいけない
相撲番付の法則
ゲーム感覚で競争させる
部下は平等に扱うべきか?
第4章 部下とのコニュニケーションのとり方
会話なくしてコミュニケーションはあり得ない
ビジョン・目的・情報を共有せよ
仕事にジェネレーションギャップなどない
大切なことは表現を変え何度でも伝える
上司のお金の使い方
ギブアンドギブで部下と付き合え
部下の本心を聞くなら夕方以降に
ほめる時は徹底的にほめる
★部下への効果的なほめ方(実例集)
  • 部下のパーソナルな部分をほめる
  • その人物の周りをほめる
  • すぐに使えるほめ方集
  • 成績がいつも優秀な部下に対して
  • ほめようがない部下にはどうしたらいいか?
第6章 困った部下の対処法
上司 vs 学生気分型部下
上司 vs コミュニケーション欠如型部下
上司 vs 虚弱型部下、心に病を持つ部下
上司 vs 自己主張型部下
上司 vs リセット症候群部下
上司 vs 言い訳型部下
上司 vs シンデレラ部下
上司 vs クレーム恐怖症型部下
第7章 こんな上司は失格!
想像力が乏しい上司
無意味にポジティブな上司
部下と張り合う、心の狭い上司
自分の基準がすべてだと思う上司
部下を信じすぎる上司、部下を信じられない上司
まじめ過ぎて心に余裕のない上司
スピーチができない上司
部下の粗を探す上司
元気がない上司

いずれも使えるものばかりなので、「後は読め」でいいのだが、あえて一カ所だけ引用するとしたら、これだろう。

P. 58
できるプレイングマネージャーの個人成績は、No. 2以下でよし

いわゆる仕事ができる人がいい上司になるとは限らない理由が、ここにある。できる人はプレイヤーとしてもNo. 1を目指してしまうのだ。こういう人は、むしろ上司にしない方がいいのだが、日本では給与を正当化するためにプレイヤーをマネージャーにして、チーム全体が損をすることが多いようにも思う。

ただし、例外もある。ベンチャーの場合は、No. 1を目指しても構わない、というよりそれが一番楽なやり方でもある。ボスザル、アルファドッグとして群れを率いるというモデル。ただし、このやり方は長くはもたない。どうやって「プレイヤー」から「マネージャー」へ転向するかはまだNo.1のうちに考えておいた方がいい。辞めてしまうという選択肢も含めて。

上司というよりマネージャーは、本来上下関係の上、というよりも別の職種と考えた方がよい。「上司として仕える」、あるいは「マネージメントというサービスを部下という顧客に提供する」というのが理想である。本書が提示する上司像は、そういう上司像である。

Dan the Boss of His Own