築地書館より、「本が好き!(β)」経由で献本御礼。

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農で起業する!/農!黄金のスモールビジネス
杉山経昌

どちらが「スゴい」かといえば「米で起業する!」だが、どちらが「役に立つ」かといえば、こちらの方だろう。

著者の杉山経昌のプロフィールは、以下のとおり。

杉山経昌略歴
千葉大学文理学部化学科卒。 通信機器メーカーと半導体メーカーで、バリバリの外資系サラリーマン生活を経験した後、宮崎県綾町で農業を始める。 サラリーマン時代の左手にコンピューター、右手に経営書を常に携えた経験を十分に生かし専業農家を営む。 現在、果樹100アール、畑作30アールの専業農家。 農業とは自分にとって天職で、これほど「おいしい」業界はないと日々実感している。

一言で言うと、技術開発のギーク、営業のギークを経て、農のギークということになる。

「農で起業する!」目次 - 農で起業する!より
ラクラク農業7箇条
農業は本当に3K「きつい・汚い・危険」なのか?
プロローグ 脱サラ百姓のススメ
1 ストレスで胃に穴があく前に転職を考える
2 サクッと就農する
3 営農計画はじっくり立てる
4 賃料は労働で返して一石多鳥
5 週休4日のためには労働生産性を上げる
6 収益性を上げるテクニック
ビジネス感覚をつかむための必須用語解説〜これだけは知っておこう
1 農業経営もビジネス〜こうすればうまくいく
1 ニッポン農業の3大時代遅れ「肥料」「計測」「情報」を克服しろ
2 農協の指導に従っていたのでは、ムリ、ムラ、ムダが多い
3 土づくりはムダ
4 経験を積まなくとも、農業はできる
5 農業は情報産業だ〜週休4日を実現するためには時短!
6 農家につけ込む「ワラワラ詐欺」!
7 楽しい農業の極意は「最適化農業」
2 ニッポンの農業事情
1 味とは関係ない、見た目のオリンピックと化した果物市場
2 消費者が守られていない本当の理由
3 有機農業についての誤解
4 農業の常識のウソ、ホント−−産地モノには注意!
5 後継者について〜世襲に頼らない後継者への経営委譲はなるか?
3 理想のライフスタイルを手に入れた
1 毎日が土曜日!
2 農村でうまくやっていくには?
3 営農視察を有効に活用する
4 農と自然をとりまく将来は
巻末付録 就農の軌跡
あとがきに代えて 妻の就農体験記
おわりに
「農!黄金のスモールビジネス」 目次 - 農!黄金のスモールビジネスより
はじめに ゆっくり夕陽を眺めて暮らしたい!
1章 まずは価値観の転換からはじまる
1 農業は・おいしい・業界です
2 経済規模最小で生きる
3 時給3000円以下の仕事はするな!
4 自分の取り分はこうして増やす
5 あなたを働きアリにさせる大きなワナ?
2章 スギヤマ式スモールビジネスのコツ
経営術を身につける唯一の方法〜それは失敗すること
1 スモールビジネスの極意
2 価格設定のコツを伝授します
3 つくって、直接売る。
4 すべてのビジネスは情報産業
5 専門的で奥が深い! だから高収益!
6 いろいろなチャレンジが楽しい
3章 人生で大切なことは農で学んだ
1 夢を満たせる職業です!
2 人間の本能に根差した生活を
3 一七年間、お客さまが目の前で食べるのを見てきたが......
4 作物栽培が教えてくれたメッセージ
最後に〜輪廻転生の発想で
あとがき〜妻への手紙「小さな生活」
付録 果樹園経営ConsoliPack〜栽培技術から経営管理までの完全マニュアル

「農で起業する!」が入門編、それに続く「農!黄金のスモールビジネス」が実践編という位置づけであるが、私の手元に着たのは前者が18刷、後者が6刷。実によく売れている。一読してみて、その理由がわかった。

どちらも実によく出来た経営指南なのである。

これは、スモールビジネスであれば、どの分野においても使える。

その要諦は何かというと、利益へのこだわり。

「どんなビジネスでもそうじゃないか」といえばその通り、なのだが、実はどんなビジネスでも、「利益へのこだわり」は簡単に「売上げへのこだわり」に化けてしまう。農業もそれの例外ではなく、悲劇はそこから始まる。

たとえば、著者はこう言い切る。

「農!黄金のスモールビジネス」P. 91
棚田が美しいと気軽に言うな!
生産性低下のツケは百姓にまわる

生産量の観点から行けば、棚田は正しい。しかし棚田は高コストなので、いくら収量が増えても利益は出ない。著者はその代わり、土地を余裕をもって使う。田畑のまわりには機械がUターンするための遊び地を開けておく。その分収量は減るが、それ以上に労力が減る。今や余っているのは労働力ではなく土地なのだ。

スギヤマ式農場経営のもう一つのコツは、「大きくしない」こと。

あくまで夫婦二人が余裕をもって経営できる以上に農場を広げない。広げても利益が出る場合ですら、その利益すら「ムダ」と見なす。何がムダになるかといえば、時間がムダになる。あくまで夫婦二人の労働時間合計が年間3000時間に収まる範囲にとどめておく。

そう。実は「成長」という呪いさえなければ、スモールビジネスほどおいしい商売はない。農でなくても然り。ましてや、農の場合、根本的な「仕入れ」は自然がやってくれる。これは確かにおいしい。

しかし、杉山夫妻とて、はじめからうまくやっていたわけではない。「経営術を身につける唯一の方法〜それは失敗すること」と言い切っている。結局のところ、どれだけ失敗できるか、どれだけ失敗から学べるかが経営ということに例外はないようだ。農業は特にパラメターが多い業界であり、その点がやはり難しいが、「楽習フェチ」にはそれこそが農の醍醐味ということになるのだろう。

私もちょっと挑戦したくなってしまった。もっとも、週休四日というのは私の基準だとまだ少ないし、PDCAサイクルが気の短い今の私には長過ぎる。もう少し考えてみることにしよう。

Dan the Blog Farmer


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