講談社BIZの広部様より献本御礼。
にも関わらず、また「マインドマップ的読書感想文」に先を越されてしまった
【成功法】「90日間で人生を最高にする方法」荘司雅彦:マインドマップ的読書感想文「アメリカンドリーム」とはちょっと違った、「英国流成功法」がここに!
内容はすでに「マインドマップ的読書感想文」で紹介されているので、ここでは「英国流」について解説する。
本書「90日間で人生を最高にする方法」は、自己啓発書。ただし英国流。
目次 - 90日間で人生を最高にする方法 マイケル・ヘッペル 荘司雅彦 大田直子 講談社より- 監修者のことば
- 楽しく成功を手に入れるための最高の方法論だ
- 荘司雅彦
- 第1章 最高のライフバランス
- 第2章 最高の人たちの5つの特徴
- 第3章 最高の目標設定
- 第4章 最高になるべき時
- 第5章 最高の信念
- 第6章 最高の「壁」粉砕法
- 第7章 最高の価値観
- 第8章 最高のチーム
- 第9章 最高のビジョン
- 第10章 最高を行動に
- 謝辞
目次を見る限り、割とよくある自己啓発書と変わりないように見える。実際、本書の主成分は、他の自己啓発書とほとんど同じである。こういってしまうのも何だが、自己啓発書に限らず、ある分野に関して書かれた本というのはそんなものである。
しかし、自己啓発書ほど主成分が似通っており、それゆえ自己啓発書ほど「何が書いてあるか」ではなく「どう書いてあるか」が重要なジャンルというのもほとんどない。私が興味を持つのもそこだ、というよりそこしかない。自己啓発書は内容ではなくスタイルである。
その意味で、なぜこのタイプの自己啓発書が今までありそでなかったか、といえば、監修者の荘司雅彦が以下のように言う通りである。
P. 4つまり、「成功哲学」とは、たくさんのアメリカンドリームを実現した成功者達の国であるアメリカの十八番であって
その結果、自己啓発書というジャンルはファーストフード、いや、はっきり言ってしまおう、ジャンクフード業界にも似た様相にある。確かに売れる。本も売れれば著者も売れる。しかし著者はとにかく本の中身はスカスカ。「カロリー」が高いので腹は膨れるが、ふくれすぎて精神がメタボになりそうだ....
しかし、あなたは今の自分に満足していない。「私はもっとうまくやれるのではないか」。そうしてまた一冊自己啓発書に手をのばし、一過性の満足感を得た後、あなたは著者とは違う、著者がやるようには出来ないことに気がつき、orzとなる....
本書は、そんなあなたのための一冊だ。
「英国式」とはなにか。
ひと言で言えば、 Sitcom と Monty Python の違いだ。米国式の Sense of Humor に「辛口」はあるけど「毒」はない。なぜなら「毒」は「悪」だからだ。しかし英国式の Sense of Humor に「毒」は欠かせない。実のところ米国にも「毒」のある Sense of Humor はいくらでもあるし、英国にだって「毒」抜きはある。しかし「式」が付く以上は、「毒」があるのが英国式、抜きが米国式である。
本書は、自己啓発書という、毒の混入に最もうるさいはずの製品でも、英国式が成り立つことを証明したという点で画期的なのである。
毒はあちらこちらにちりばめてあるのだが、一カ所だけ引用する。
P. 186ジョン・テンプルトン卿は史上最強の投資家の一人であり、そうなる過程で億万長者になりました。彼の価値観は揺るぎなく、どんな権力を行使されても核となる価値観を曲げませんでした。収入の50パーセントを蓄えて投資し(投資専門家になる前に確立した価値観と習慣)、無数の個人と事業を支援しただけではなく、有意義な運動に毎年何百万ドルも寄付しました。そして、精神生活の意義と与えることの重要性について数多くの本を著しています。
「何百万ポンドじゃなくて?」というツッコミはさておき、これだけなら、確かに米国式と大差なさそうだ。しかし、この段落の直後に、これが来るのである。
ニコラス・ファン・ホーフストラーテンも不動産投資で巨富を手にしました。彼の価値観の土台は貪欲と、自分に賃貸料を払う人たちに対する憎しみでした。長い間、隣人と事業の共同経営者と争ったあげく、結局、殺人の罪に問われ、10年の刑を宣告されました。彼もまた、自分の価値観を曲げようとしなかったのです。
「たった10年?」というツッコミはさておき(そしてこの文体が本書のパクリだというツッコミはさておき)、本書にはこういうちょっとした「毒」があちこちにしかけてある。さすがに「毒」がメインディッシュの Monty Python ほどではないにしろ、満員電車の中で読んでいて思わず笑い声をあげて、「この人アブない」と周囲に思われる程度には入っている。
本書であなたが自己啓発に成功するか、あるいは本書の言うように「最高」(Brilliant)になるかどうか、私は保証しない。しかし、税込み1,575円分の「毒」が入っていることは保証する。その「毒」を笑い飛ばせるのであれば、あなたはもう充分啓発されているということとあわせて。
Dan the Monty Pythonista
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