やっと全部目を通したので、まずは[後でまた読む]ためにリンク。

対談ダイジェスト 西原理恵子さん×勝間和代さん 母の苦労を知れ:かあさんNEWS - 毎日jp(毎日新聞)
勝間 この話、すごく私たちが言いたいことだったんです。特に「こんな苦労が男にできるかバカヤロウ」というせりふが。

最強ワーキングマザー対談:西原理恵子×勝間和代

  1. 「女の人は働いたほうがいい」
  2. 「スカートは、はかない」
  3. 「日本は子供に冷たい国」
  4. 「『手伝う』って言うな」
  5. 「ひどい会社から逃げよう」
  6. 「私立ならどこでもいい病」
  7. 「おばあちゃんは絶対必要」
  8. 「社員の未婚、社長さんも悩んでます」
  9. 「手に職、大事ですよね」
  10. 「日本は貧困にも冷たい」
  11. 「世界の貧困、何とかなるかも」
  12. 「勉強法、ドーパミンが出るように」
  13. 「もっともっと、子供にお金を」

こういうのも何だが、読了後には「男のライフはゼロよ!」という気分にもなってくる。

なぜなら、彼女らは男に全く期待していないからだ。

彼女らは、彼女らの職場には期待している。

彼女らは、彼女らの実家にも期待している。

彼女らは、彼女らの社会にも期待している。

期待どおりに行かないから、彼女らは強くなり、不足分を自ら賄って来たわけだ。だから「自腹ばっか切らせるな!もっとオゴれ!みんなジバランで行けると思ったら大間違いだぞ!」と言っているわけである。

このこと自体は、ある意味想定の範囲である。すでにフランスというケーススタディもある。

404 Blog Not Found:s/フランス//g #して読め - 書評 - フランス父親事情
しかし、母親の立場からすると、本当に必要なのは「父親」そのものではなく、自らの子育てを楽にする「父性」である。一夫一妻により「もう一組の手」は確かに増えたが、それにも当たり外れはある。当たり外れのある♂の父親より、社会そのものが「父親」となってくれた方がむしろよいのではないか。
フランスは、それをかなり自覚的に押し進めた。社会を父親化したのである。その結果、個体としての父親は「負け」た。

くやしいかな。父親としての能力は、個体としての男は社会にはかなわない。「ダメ親父」な日本でさえすでにそうだ。私自身、父親の「役者不足」を社会に「補填」してもらったから今がある。母は強い女(ひと)ではあったけれど、充分ではなかった。

そのこともあって、私自身の父親力は、私の父よりずっとあると弾言できる。それでもなお、娘たちにとっての切実度は、母(私の妻)>祖母たち>社会>私であると認めざるを得ない。社会と私の父親力の差には、ゼウスとオスバチぐらいの差がある。

実にみじめではあるが、このこと自体は仕方がない。生物学にはさからえない。

しかし、である。我々はハチでもアンコウでもなく、哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属ヒトなのである。そして典型的な哺乳類らしく、♂にはフルセットの心身が与えられる。「身」に限って言えば、♀よりやや力持ちなぐらいである。

社会が完璧な父親となったとき、彼ら、いや我々男はどこに行けばよいのだろうか。

社会というマトリックスの電池だろうか。確かに社会が一端男から原資のみを徴発し、男という余計な「オマケ」なしに、社会が「純粋な父親力」を供給した方が子供にとってよさそうに思える。少なくともDVは劇的に減少するだろう。

しかしマトリックスの電池にすぎないことを、男たちは受け入れられるのだろうか?

皮肉なことに、母ではなく♀としての女たちは、未だに力のある男たちを好む。「力のある」とはどういうことかというと、「潜在暴力が大きい」ということである。最強の彼女たちでさえそうであることは、「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」を読めばわかる。

しかし、ひとたび母となれば、彼女たちをかつて魅了した「力」は一転して「毒」となる。力がありすぎては彼女たちを「ウェンディ」にしてしまう。しかし力がなければ単なる甲斐性なしである。夫兼父としてのフェアレンジは、恐ろしいほど狭く、そしてそれが日に日に狭まっていることを男たちはひしひしと感じている。

それがアンフェアだと、感じるほどに。

そうこう言っても、社会の父親力が増し、それに従って男に居場所がなくなるという長期傾向に歯止めはかからないだろう。ましてや日本はフランスの周回おくれ。少なくとも一周分進むまでは止まらないというのは外しようがない予測に感じる。

しかし、その先はどうなのだろう。

妙案は、まだない。

ないのでとりあえずはこの歌でも歌って気を紛らわすことにしておく。6曲目。

やまねこ
傷つけるための爪だけが
抜けない棘のように光る
天からもらった贈り物が
この爪だけなんて この爪だけなんて

このやまねこは実は♀なのだが、むしろ♂にこそふさわしい。

Dan the Social Appendix Called Father