ディスカバー社よりいつも通り献本御礼。
初出2008.06.12; 販売開始まで掲載
フレームワークを知悉し、フレームワークで今の地位を築いた著者が、フレームワークを縦横無尽に使いまくって書き、それをベストセラー出版のフレームワーク化に成功した出版社が編集し本にまとめた一冊。
フレームワークに関して学ぶのに、これほどの好条件が他にあるだろうか。
本書「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」は、見ての通りフレームワークの本。
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それでは、フレームワーク(framework)とは一体なんだろうか。
ずばり、「型に」(frame)「はめる」(work)ことである。
それでは「型」だけでもよいではないかという意見もあるだろう。私もそう思わぬでもない。しかし、二つの理由で「フレームワーク」の方がよいと考えている。
一つは、「型」という名詞だけでは弱いこと。
404 Blog Not Found:あなたはなぜ勝間和代に勝てないのかここで、著者のblog、「私的なことがらを記録しよう!!」を改めて見てみよう。書評へのリンクを、実につぶさに張っている。ここまできっちやる著者を、私は知らない。強いて言えば見つけた書評を余さずはてブしている梅田望夫だろうか。両者とも、10万部超えの本を複数ものにしている。
端から見て、これはかっこいいとはとても言えない。あさましささえ感じるだろう。そう。あさましさ。健全なあさましさこそが、報われない20%に足りないものの正体である。報われていないのではない。自分に報いていないのである。
あなたは、知的生産というものをなんだかかっこいいもの、「知的」なもの、汗とは無縁なものだと思ってはいなだろうか?
違うのである。「生産」の文字が後ろに付く以上、「知」だけでは絶対に完結しないのである。アウトプットという、どこかの筋肉を動かさなければ完結しない作業が、そこには必ずついてまわるのである。そして、完結しなければ、そこから得られるものはゼロなのである。
ワークなきフレームは、単なる時間と資源のムダでしかない。ワークがあってはじめてフレームが活きてくる。
もう一つは、著者が教えてくれる。
P. 73さて、ここまできて、ひとつ気づいたことがあると思います。それは、このフレームワーク、やたらと横文字が多いことです。もともと、フレームワーク自体も英語です。
理由は簡単で、世界中の叡智の結集として、さまざまなフレームワークが提案され、その中で生き残ったものだからです。人口分布から考えても、日本人が発明したフレームワークと、海外から輸入された英語のフレームワークとでは、後者の方が多くなって当然でしょう。
くやしいがこれには同意せざるを得ない。が、中国語圏のように、外来語をそのまま使うフレームワーク、(そう、まさにこれもフレームワークだ!)がない国もある。そう考えれば、カタカナもまた見事なフレームワークと言える。私自身は不得手なのだけど。
話を元に戻す。なぜ、フレームワークが必要なのか。
それは、フレームなきワークでは、もはやワークとして立ち行かないからなのだ。
実はこのことは「フレームワーク」という言葉が登場する前から我々は知っている。
「メタルカラーの時代 5」 P. 24山根[一眞] 金型はモノ作りの基本中の基本だから...
三井[孝昭] そうですよ。「金型」をよく知らん人には、「芸術作品、美術品以外のモノを作るのは全部、金型だ」というてるんです。人間か人間でないかの違いは、「金型を使うか使わないか」だと。
金型がなくとも製品を作れなくもないように、フレームワークがなくとも、クソ力(brute force)やビギナーズ・ラックで勝つことはそれはあるだろう。しかしそれでは勝ち続けることはおろか、負けを防ぐことも出来ない。フレームワークなきものは、戦闘においてすら不利であり、ましてや戦争に勝つことは不可能と言い切ってよい。
このフレームワークの効用は、何も知的生産に限ったことではない。
404 Blog Not Found:差額は授業料 - 書評 - 「伝説の社員」になれ!今はどうかわからないのだけど、当時は工事現場にほっかむりをしたおばちゃんたちがたくさんいた。私の肩にも届かないような小さなおばちゃんたちだ。彼女たちは本当に軽々と作業しているのに、こちらはちょっとスコップでアスファルトをかき混ぜただけでも疲れてしまう。悔しいやら情けないやら。
しかし、ある時ふと気づく。「そもそも体を動かせば仕事になるというのが間違いなのでは」。それに気がついてから、私はおばちゃんたちをじっくり観察するようになった。おばちゃんたちには怪訝がられたがこちらは追いつきたい一心である。
そして気がついたのが、彼女たちは腰でスコップを使っていること。腕より先の動きは最小限。これがわかってからのスコップ作業の楽になった事。ざくざく掘れる。あまりに楽になったので、「もっとアスファルトを!」とねだって笑われてしまった。
ガテン仕事もまた、フレームワーク構築と利用の連続なのだ。フレームワークなしには、実は我々は自転車に乗ることも歩くこともできない。小脳にフレームワークが出来上がっているから、我々は難なくこれらが出来るのだ。
フレームワークがいかにすごいか、すごく切実か、感じていただけただろうか。
フレームワークを巡るもう一つの誤解は、それが「型にはまる」ことだというものだ。違うのである。「型にはめる」のである。他動詞。自動詞ではない。それがわかっていれば、自らを型にはめる際も「型にはまらず」にすむ。
404 Blog Not Found:仕組むか仕組まれるか、それが問題 - 書評 - 「仕組み」仕事術ディスカヴァー社は、この「仕組み合い」が最も上手な出版社の一つである。それが昨今のベストセラーラッシュに繋がっているのだろう。私はディスカヴァー社の「仕組み」に献本等を通して「仕組まれている」と同時に、書評の形でディスカヴァー社を「仕組んで」いる。一方的に仕組まれるのは悲劇であり、それにすら気がつかないのは喜劇であるが、仕組み合いは双方にとって楽であり楽しい。
本書は勝間本の型通りに書かれ、ディスカヴァー社の型通りに編集、出版され、そして型通りに私に献本されてきた。そしてこの書評もまた、私の持つ型に従って書かれている。うまく行くフレームワークの連鎖というのは、よく設計された工場のラインのように美しく気持ちがいい。
そう、フレームワーク力とは、自らの工場を持つということなのだ。
それがないものは、他者の用意した工場で使われるしかない。
すでに製造業においては「人間か人間でないかの違いは、『金型を使うか使わないか』」という時代になって久しい。
知的生産においても、「人間か人間でないかの違いは『フレームワークを使うか使わないか』」という時代が、すでに来ている。
Dan the Frameworker
追記:
勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!: フレームワーク力、見本来ました+初版、著者略歴が・・・うーーーん、そりゃ、帯を捨てる人が当然一定数いますので、それはまずいんじゃないでしょうか。ディスカヴァー社長室blog: フレームワーク力、できました! ●干場
帯にしか著者略歴がないのは、帯を捨てた人にはわからなくなっちゃうのでいかがなものかと。は、はーー、確かに、カバーの銀箔があったので、カバーへの記載は避けたのでした。そんな、せっかくの勝間さんの写真入り帯、捨てる人がいることを想像しませんでした!
これに関しては干場フレームワークを支持する。オビであれば経歴が増えても対処しやすい。特に著者のように出版ペースが早い人の場合、そこに載せる代表作の更新はこちらの方が行いやすい。本書に限らず、最近ではナレッジエンタ読本が「カバー的帯」を採用している。フレームワークは時とともに変わるもの。著者のそれは少し古いのでは?
最初は覚えりゃいいじゃんみたいなものだと思ってたんであえて手に取ったりしませんでしたが
読んでみたら全く違った感想でした。
つまり知的生産を向上させたり新しく知識を創造する
ツールとしての活用法が書いてあるんですね。
考え方の基本みたいな
いい本ですね