早川書房三浦様より献本御礼。

初出2007.06.26; 販売開始まで更新

いきなりツボをつかれた。うっとり。

本書「BONES 動物の骨格と機能美」は、軟骨魚類(にも硬骨がある!)から哺乳類まで、実にさまざまな骨を白黒で載せた写真集。これほど白黒が似合う被写体が、他にあるだろうか。

その一部は、

からも確認することが出来る。一枚だけ拝借。これが何の骨だかおわかりになるだろうか。

かと思えば、すぐに姿形がわかるどころが、骨ではなく皮膚に見えるものすらある。表紙になっているワニがそうだ。これがワニであることは、骨を全く知らない人でもすぐにわかるだろう。しかし近づいてみないと、これが骨であるとはすぐにわからない。ワニは頬がない上、大動物ゆえ骨が体全体に占める割合も大きいのでこうなる。

お世辞にもかっこよく見えない動物は少なくない。しかし、骨を持つ動物の中で、骨が美しくないものなどいるのであろうか。骨は工学的に皮膚ほど余裕がない。実は大動物ほどそうである。なぜそうなるかは、「ゾウの時間 ネズミの時間」を参照のこと。工学的要請に答えなければならない骨というのは、それだけ「美しくないまま」でいる余裕が少ないと言えるかも知れない。

それでも、骨に許された工学的余裕は、種によっても部位によっても違う。たとえば人間だと腓骨が「無駄骨」。取っても歩けなくなったりはしない。しないので骨移植に用いられたりする。こういう「余裕の骨」は、どこかユーモラスだ。

もう一つ気づくのは、特化が進んだ動物ほど、骨が少ない、すなわち退化した骨が多いということ。同じ腓骨を見ても、ウマのそれは痕跡程度しかなく、指も一本しか残っていない。この観点から見ると、霊長類というのはずいぶんと「原始的」というか「純正的」(generic)だ。両手両足とも指が五本づつ揃っているのは、「いまどきの」哺乳類では実は珍しい。我々は霊長類があまり特化していなかったことに感謝すべきなのだろう。さもなければこれほど器用な手を持つことはありえなかったのだから。

本書は、見てのとおりあくまで写真がメインであるが、巻末になかなか立派な解説もついている。あの「解剖男」の監修だ。面白くないわけがない。

しかしそれだけに、「骨の読み方」を知らない人が「美しい」という以上の感想を持つことが難しいかも知れない。役に立ちそうな副読本を以下にまとめてみた。

自分の骨のこと知ってますか
人骨がメインだが、前述のとおりヒトの骨は哺乳類のプロトタイプに近いので、あらかじめ読んでおくとかなり本書の鑑賞が楽になるはず
フライドチキンの恐竜学
フライドチキンを通して鳥類と恐竜の骨を学ぶ。カジュアルなタイトルと図版に反してなかなかホネのある一冊。
恐竜ホネホネ学
もっともおちゃらけたタイトルだが、この中ではもっともハードコアな一冊。恐竜とあるが、「現存する動物の解剖学を元に恐竜を復元しよう」という一冊なので、骨一般に関して学ぶには格好の一冊となっている。

骨には必然的な美しさがある。私が女性の胸よりも尻に惹かれるのも、多分それが理由だ。胸には残念ながら骨がないが、尻には骨盤がある。そしてこの骨盤は、男女差の違いが最も大きな骨の部位の一つだ。♪Fat bottomed girls, you make the rokin' world go round (1枚目の4局目)。

失礼。しかし骨を愛でるのに、尻フェチである必要はない。ヒドロキシアパタイトで出来た傑作たちを、とくとごらんあれ!

Dan the Boneheaded