英治出版より献本御礼。
一言でいうと「図解・ウィキノミクス」。前著で「ウィキノミクス」がピンと来なかった人も、本書ならわかるだろう。
本書「クラウドソーシング」は、クラウドソーシングの実例集。豊富な図解と横書きでWeb的なレイアウトで、「ウィキノミクス」では今イチ伝わりにくかったその現場を臨場感たっぷりに伝えている。
目次 -本書の特徴は、なんといっても「理解より納得」、「考えるより感じよ」というフォーマットにある。英治出版という出版社は、どちらかというとハードカバーで文字主体の、「納得より理解」というタイプの本を多く上梓している印象があるが、本書はいい意味で英治出版らしくない。本書のオビが「著者4000名、前代未聞の出版プロジェクト」と豪語しているように、本書には全世界のさまざまなクラウドソーシングの事例が登場する。日本からも、数独のニコリが登場している。
もちろんウィキノミクス、あるいはクラウドソーシングというのははじまったばかりであり、いいことばかりではもちろんない。その最たるものは、「クラウドソーシングは21世紀の小作農だ!」(by Jesse Vincent @ YAPC::Asia::2008)というものだ。クラウドに場所を提供したものばかりが儲かるというのがその意である。
その一面は確かに否定できない。「世界四季報: アマゾンが国内書籍販売売上高1位」というニュースも入ってきているが、これとて「儲かるのはAmazonという地主ばかり」という見方も出来なくはない。しかし、実際に自作農と小作農の双方を経験してみてみると、むしろ「農地や農機具を用意しなくてもいい」という利点の方が、「大きなお金は地主」という欠点より強く感じられる。
こればかりや、やってみなくてはわからない。そしてクラウドの一部分になるのに、手間はほとんどかからない。blogなりwikiなりのページの編集権と、データと著者をひも付けするID(たとえば私の場合blogsofdankog-22)さえあればいいのだから。「謝礼不要」であれば後者すら必要ない(たとえばwikipedia)。
というわけで、本書がまとめた「8つのガイドライン」をここに記しておくことにしよう。ちなみにこれは「地主側」、すなわちクラウドに場所を提供する側のガイドラインである。
- 裏方に徹する
- 立ち入る時期を知る
- 本物のコミュニティを作る
- 秘密を作らない
- 「完璧」であることを忘れる
- 場をかき回す
- 感謝を示す
- 先を見据える
面白いことに、これは成功するblogのガイドラインにもなっている。livedoor blogという畑を借りて、Amazonから種を貰って育てている私は立派な小作農でもあるのだけど、しかし 404 Blog Not Found の地主はまぎれもなく私である。この場所の貸し借りの二重性もまた、クラウドソーシングを語る際に無視できない特性なのだろう。
そうやって書くと、どうもウィキノミクスというのは落語の花見酒じみてはいるのだけど、花見酒と違ってこちらは確かにきちんとまわっているという実感がある。こればかりはやってみないとわからない。それもしばらく続けてみないとわからない。本書がそのきっかけになれば4000人の著者たちもそれを紹介した私もうれしい。
Happy crowdsourcing!
Dan the Sharecropped Crowdsourc(er|ee)

はじめまして。
面白い本を紹介して下さってありがとうございます。
実際に本を読んで気がついたのですが、クラウドソーシングの場合のクラウドは「croud(群集)」で、クラウドコンピューティングの場合は、「cloud(雲)」だったんですね。
yomoyomo様:
>もしかしてクラウドソーシングを"Cloud Sourcing"と思ってるんですか?
私について言えば、恥ずかしながらそう思ってました。
yomoyomo様のコメントで勉強させていただきました。
なるほど、「オレタチはオレより賢い」ですね(笑)