何十年前の社説のコピーかと思ったら、今日のかよ。

【主張】読書週間 本好きの子供に育てよう - MSN産経ニュース
きょうから読書週間である。読書離れがいわれる今日、多くの人が書に親しむきっかけとなればこれに如(し)くものはない。経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)でも、読解力の低下が明らかになっている。若者の活字離れが進み、書かれた文章を読み取り、これを利用し、自分の頭で考える能力が急速に落ちてきている。

「経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)でも、読解力の低下が明らかになっている」って、人の受け売りかよ。

こういうのも何だけど、人々の読解力は上がってると弾言できるよ。未だかつて、これほどの文字に囲まれて生きていたことってないもの。どうでもいいメッセージを捨てて、自分に必要なメッセージを拾うという点にかけては、本しかなかった頃の人と比べて、今の人の方が格段にあるはず。

こうした中、自らの経験知を補い、知識や知恵や感動体験などを学ぶことができるのは、何といっても読書が一番である。本は知を開き、情操を養い、徳性を育てる人生のこよなき師匠なのだ。

しかしその師匠は、経験のない人には全く解読不可能意味不明なものでもあるのだな。幼児がアニメしか「観れず」、子どもが漫画しか「読めない」のは至極当然。その本を読み解くための前知識(プライマー)がないんだもの。そうじゃないって言うなら、おまえ、ロゼッタストーンなしでヒエログリフ解読してみろよ。

正直、活字だけの本を楽しめるのは、中学生以上でも遅くないと思う。私はませガキだったのでそれより早かったけど。それ以前に「本を読んで楽しめる」っていうのなら、まず嘘つきと思っていい。大人の機嫌を取るための。

本好きに育てるには、知らない間に自らが本に手を出すように仕向けるのが最もよい。それには、まず親が本好きになることだ。

これは半分本当。もう半分、いやそれ以上はマスメディアを遮断すること。TVと新聞をやめれば、いやでも本を読むようになるYo!。これは「弾言」にも書いた。本だけ読んでりゃいいほど、現代人は暇じゃないもんね。

【主張】読書週間 本好きの子供に育てよう - MSN産経ニュース
今の小学校の漢字教育は、子供によい影響を与えていないのではないか。例えば芥川龍之介の「蜘蛛の糸」や「杜子春」も読めない。
産経社説 【主張】読書週間 本好きの子供に育てよう - MSN産経ニュース - finalventの日記
 まあ、読めないかな。ただ、あれ読むというより読み聞かせるというタイプの話なんですけどね。

どっちも不正解。今時のご老体は青空文庫も知らんのですかい。どっちも収録されてまっせ。

で、いずれもルビがふってある。これならまだ漢字があまり読めないうちの7歳弱の次女にも読める。しかし、私はまだこの次女に今しばらくの間漢字が読めないままでいてほしいのだな。さもなきゃ「かに」が成立しないもの。

shizukani

「かに」がなんですかって?決まってるじゃないですか。これのことですよ。

次女曰く「ねえ、なんで赤ちゃんなのに『かに』なの?へんだよねえ」

以来この標識は我が家では「かに」ということになっているのだけど、それを最初に聞いてRealtekを思い出した彼女の親父よりよっぽど健全だよね、「静」が読めない幼女の方が。

話を元に戻す。

だいたいこういう話って、なんでいつもこてん古典なんだ?ばかなの?しぬの?著作権への配慮?そもそもそいう連中自体が、生の古典をどれだけちゃんと読んだかおいらは多いに疑問なんだけど。そのほとんどは単に読みづらいだけじゃなくて、役立たずでつまらない。悪いけど、「蟹工船」読んだって無駄だからね、21世紀の格差問題を語るには。いくらワーキングプアって言ったって、今の目の肥えた編集者だったら、持ち込まれた段階でボツだよ。そう。「蟹工船」なら青空文庫にある。自宅警備が暇な時に読んでみるといい。「ソードマスターヤマト」も真っ青のオチだから。

古典は、たまたま今読んだ作品に引用があって、その引用元を知りたくてって読み方でいい。そう、ポロロッカでおk。

産経社説 【主張】読書週間 本好きの子供に育てよう - MSN産経ニュース - finalventの日記
今NHKでやっている星新一の映像リメークものがよいですよ。

あれのおかげで「ボッコちゃん」の内容を思い出した。「ボッコちゃん」だけだと思い出せないけど、オチが来る前には全容を思い出せるというか。「思い出す」といえば、その星新一がロールモデルにしていたフレデリック・ブラウンの短編で、核シェルターに閉じ込められた男が、しかしそこに一冊しか本がなくて、でも記憶喪失になったおかげでその本が何度読んでも新鮮で....なんて話があった記憶がおぼろげにある。あ、岡崎二郎が漫画化してたっけ。それともあれは岡崎オリジナルだったっけ。

最後に一つ、ここだけの話を一つ。ある出版社の書店向けの発表会でなぜか私がゲストスピーカーとして招かれた時のこと。私が聴衆に対してした質問が、以下。

「この中で、この出版社の本をきちんと一冊最初から最後まで読んだ方、手をあげて」

一割切ってましたね、手をあげてくださったのは。

本を(子ども|家族|友人|部下)に読ませたいあなた。

まずはあなたが読みましょう。

それから「本読め」言うのやめましょう。もっと読んでいる人にあなたがいかに読んでないかをつっこまれるのがオチなので。

「読め」いうなら、具体的な書名を上げましょう。そしてなんでその本がおすすめなのかをきちんと伝えましょう。それをblogに書けばなおよしかも。1000冊もやればここの誰かさんみたいにちょっとした副業になるかも知れませんし。

Dan the Bookworm