面白い。のだけど、
たとえば
共同体工学のすすめ - レジデント初期研修用資料同じ品質、同じ量のアイスクリームを、「四角」と「丸」、別の容器に入れて、価格を揃えて販売すると、 「丸」い容器のほうが圧倒的に売れる。それがマーガリンなら、白いものよりも、黄色く着色したほうが売れる
これはむしろ「脊髄の叡智」で説明がつくのではなかろうか。
まず、アイスクリームのカップが丸い方が受けるのは、その方が食いやすいから。アイスクリームはスプーンで食う。スプーンでアイスクリームをしゃくるときには、器が丸い方がずっときれいに食べられる。アイスクリームで「重箱の隅」をつつきたい人はあまりいないだろう。
(でも、本当は箸を使っていても丸い器の方がきれいに食えるんだよね。なんで重箱は四角いんだろう?むしろそっちの方が不思議かも。)
そして、マーガリンの器が黄色い方がいいのは、マーガリン自体が黄色ということを我々が知っているから。試しに、抹茶アイスを黄色いパッケージに入れてみたときのことを考えてみればいい。
さらに一般化すれば、
- 器は、中身が取り出しやすい方がいい
- 器は、中身が「見えた」方がいい
という結論も取り出せるだろう。
以上のことは、心理学の素人である私でも容易に思考実験できた。で、それに当たっては、
共同体工学のすすめ - レジデント初期研修用資料人間の「頭のよさ」というものは、状況を取り繕う、その一瞬にこそ最大限に発揮される。 コミュニティエンジニア「人間」を想定するときには、もっと愚かな、 「虚栄心を持った猿」みたいな生き物を想像しないと失敗する
と想定するよりも、「猿はあんがい賢い」と想定した方がうまく行く。猿や脊髄は深くは考えないけれど、「演算速度」は早い。そしてそれが「演算」である以上は、理詰めでもその反応を理解することが出来る。そして理詰めでうまく行くのであれば、それは「学」になんとかもっていくことが出来る。
共同体工学のすすめ - レジデント初期研修用資料人の動きをエンジニアリングするやりかたは、どの業界を見渡しても、あまり上手くいっていない。
だからAppleが一人勝ちするのだろうとも思う。Jobsの天才はそこにある。彼は「どうすればうまく行くのか」は知らないが、「何が欲しいか」はとことん知っていて、「どうすればうまく行くのか」を見つける連中をホイホイ動員することが出来る。
Jobsになるのは難しい。しかしJobsが欲しがっているものをどう実現するかは、そこまで「難しく」ないし「直感的」でもない。
「相転移」を願うのもいいけれど、まだ「既存の相」でやり残していることもたくさんあるのではないか。と、medtoolzさんよりよっぽど「脊髄反射的」に生きてきた私が言うのもなんだけど。
Dan the Man of Instincts
「白が本来の色」ということが一般に知られれば、逆に「着色してないですよ」感のために白をひきたてる青いパッケージもアリになるかも。
そういう工夫は、さて、「工学」なのか…