その通り、と言うには不可解な現象がある。

不況は創造的破壊のチャンスだ - 池田信夫 blog
こう書くと、「不況のときは創造的破壊もできない」という類の反論があるかもしれないが、これは誤りである。Economist誌も指摘するように、アメリカ経済が最悪といわれた1980年代に、マイクロソフトもアップルもシスコもオラクルも育ったのだ。これは特記する価値がある。というのは、竹森俊平『経済論戦は甦る』以来、日本では「創造的破壊は清算主義だ」という俗論がまかり通っているからだ。

創造的破壊の果実を、誰が受け取っているのかというのがそれだ。

「創造的破壊が価値を生み、その価値を生んだものにその報酬がもたらされる」のだとすると、この四半世紀を通して最も創造的だったのはCEOということになる。Obamaも言う通り、この間かの国の中産階級の年収はほとんど上がっていないのに、CEOの報酬は端から見て創造的破壊があったとは思えない業種ですら上がっているのだから。

"Roger and Me" で Micheal Moore がやったことはちょっとした創造的破壊だった。これのおかげで彼は「Flintの一市民」から「ハリウッドのセレブ」になった。しかしこの時にMooreが噛み付いた相手、Roger Smith の年俸は、私の記憶が確かなら一桁millionだった。それ以来GMに創造的破壊があったとはとても見えない(それともSUVは「創造的破壊」とでも言うのだろうか。「破壊」には賛成だが)。しかし今のCEO、Rick Wagonerの年俸はその倍だ。

創造的破壊とは、従業員の福祉を破壊して株主価値を創造することだったのだろうか。果実の分配を見る限りは、そう結論せざるを得ないのだけど。

それでも、かの国はまだ(本当の)創造的破壊者にとってマシではある。確かに一番おいしいところをCEOがくすねて行きはするけれども、創造的破壊者本人が受け取る見返りだって決して少なくないのだから。この国はどうだろうか。

Dan the Creative Destructor, Whatever that Means